A. 2サイクルエンジンは4サイクルエンジンと根本的に構造が違いますので、専用のオイルを使用しなければなりません。
まず、2サイクルエンジンはオイルとガソリンを一緒に燃やしてしまいますので、オイルは繰り返し使用ができません。つまり燃料のガソリンと同様に走れば走っただけオイルを消費します。したがって、2サイクルではエンジンオイルの交換は必要なく、専用オイルの補充が必要となります。
2サイクルエンジンオイルは燃えやすいように品質設計されています。燃えてもカスを残さず、燃焼室をクリーンに保つ清浄性能も重視され、同時に「マフラー詰まり」の少ないことも要求されます。
オイルの供給方法には2通りあり「混合式」と「分離式」があります。混合式はあらかじめガソリンとオイルを指定された比率(ガソリン20に対して、オイル1など)で文字どおり混合してから燃料タンクに入れます。したがって2サイクルオイルは寒冷時でもガソリンと良く混ざり合う「混和性」も要求されますので、一般的には灯油をごくわずか加えてあります。
混合式はすでに、すたれた旧式な方式です。現在でもこの方式を採用しているのは一部の船外機やチェーンソーなどに使用されている小型の汎用2サイクルエンジンぐらいです。現代ではほとんど分離式に移行しており、専用のオイルタンクを持つようになりました。
2サイクルエンジンはガソリンと一緒にオイルが燃えますので、どうしても煙を出します。しかし、最近のオイルでは「消煙剤」を添加して、煙の発生を抑える製品が主流です。オイルには従来からの「鉱油」のものと、最近では「合成油」の製品もあります。特殊な例として一部では「植物油」の製品や「植物油と合成油」をブレンドしたものもあります。鉱油は経済性に優れ、合成油は高性能オイルとしてレースなどでも使用されています。
最も新しい製品の傾向は「生分解性」に優れたオイルで、海や河川の水質保全の見地から、船外機などから排出された微量のオイルが、水中のバクテリアにより分解されるように考えられたオイルです。海洋レジャーのトレンドにもなっている、水上バイクなどに広く使用されるようになりました。
2サイクルエンジンに4サイクル用のエンジンオイルを使用してはなりません。4サイクルエンジンオイルは「燃えやすく」設計されていませんので、使用した場合は燃焼室やポートに多量のデポジット(堆積物)を生成、エンジン性能低下の原因となります。
A. 2サイクルエンジンオイルの供給方式には「混合式」と「分離給油」の二通りがあります。
混合式はあらかじめガソリンとオイルを指定された比率(ガソリン20に対して、オイル1など)で文字どおり混合してから燃料タンクに入れます。
分離給油はオイルの専用タンクに2サイクルエンジンオイルを継ぎ足せば良い簡単な方式になっています。最初に考案したのは我が国の二輪メーカー「YAMAHA」で「オートルーブ」と呼んでいます。その後、バイクメーカーだけでなく多くの2サイクルを使用した車などに広まりました。
どちらが優れているかは、下記の内容により判断してください。
混合式のメリットは上記の項目に尽きます。たったの数パーセントのパワーロスも許さない考え方です。2サイクルバイクを使用した「市販車クラス」では、分離から混合に改造する(ポンプを殺す)キットも販売されていますが、一般公道で使用するバイクであれば、分離給油がはるかに利便性に優れていると判断して良いでしょう。
面倒な手間を省くことと危険性(引火)の少ない分離式は世界的に2サイクルの主流となっていますので、混合式はレースなどの特殊な分野でしか生きれ残れないでしょう。参考までに、排気ガス規制の強化により2サイクルエンジンの将来性はまったくありません。事実、わが国では2サイクルの自動車とバイクはすでに生産されておりません。
A. このアルファベットは我が国の自動車技術会(JASO)が世界に先駆けて制定した新しい2サイクルエンジンオイルの品質基準を表わす記号です。今まで販売されていた2サイクルエンジンオイルの中には粗悪品もあり、ガソリンエンジンオイルのような品質を判断する規定がまったくなく、野放し状態でした。
この事実を憂慮したJASOはエンジンメーカーやオイルメーカー、学識経験者や有識者の意見を取り入れ、独自の品質基準を定めることになったのです。正式には「JASO M345」と呼ばれる規格で、1994年7月1日より運用が開始されました。
品質の基準を表わすのは以下の3段階です。
FA・・・・・・・・・・ JASOの定める最低限の性能を有する2サイクルオイル(2003年に規格削除)
FB・・・・・・・・・・ FAより潤滑性、清浄性に優れる
FC・・・・・・・・・・ FBよりさらに排気煙、排気系閉塞性に優れる(別名、スモークレスタイプ)
FD・・・・・・・・・・ FCの基本性能にさらに清浄性能を高めたオイル(2003年に規格追加)
JASOの定める2サイクルエンジンオイルの最高品質を有するのは「FD」です。このFDはFCに要求されていた排気煙の少ない「スモークレス」性能を継承しています。これらの記号(FD 等)のオイルを販売する場合にはオイルメーカーが独自に各エンジン試験を行い、JASOに届け出をして認定を受けます。承認を受けたオイルには識別番号が各社の各ブランド毎に表示されますので、ご自分で購入したオイルの容器にはこの記号と番号が記載されているか、確認してみてください。もし、上記のアルファベットと番号のないオイルはJASOに認定されていないということになります。
FDなどの表示は我が国独自のものですので、2001年には国際的なISO規格にも採用されています。我が国のバイクメーカーの純正油や石油元売のブランドにはほとんど表示されるようになりました。
JASOの規定するFDなどの表記のないオイルは品質悪い、と断定できるものではありません。あくまで、JASOの規格に合格したことを証明するものですので、FD よりも高性能を発揮する2サイクル油はたくさんあります。
A. 2サイクルのバイクはミッションに4サイクルエンジンオイルを指定する場合が多いのです。一般的には「ホンダ純正SJ級10W-40」などと指定されています。
ミッションになぜ「ギヤーオイル」を使用せずに「エンジンオイル」を使用するのかが疑問点のようですが、エンジンオイルもギヤーオイルの性能を有しているからです。具体的にはギヤーオイルの規格「GL-3」に合格しており、充分にギヤーオイルとしての使用が可能です。
ただし、エンジンオイルなら「何でも良い」というものではありません。一般的なバイクのクラッチは湿式多板式を使用しており、オイルの中でクラッチが作動しておりますので、4輪車とは根本的にクラッチの構造が違います。したがってメーカーの指定したオイルの粘度を守らないと、クラッチの切れ具合が悪化したり、シフトアップやダウンがたいへんしずらくなる場合があるのです。
特に、指定された粘度より高い粘度のオイル(10W-40なのに20W-50)を入れた場合にはこの傾向が強く現れますので、オイルの粘度グレードの選定には注意してください。
ミッションオイルにエンジンオイルを使用するバイクの場合、あまり高品質(最新のSNなど)のエンジンオイルを使用する必要はありません。なぜなら、ギヤとクラッチ機構を潤滑するだけですからある程度のオイルで充分だということです。最近は「SJ」級を指定する場合が多いです。
バイクのミッションオイルにも交換基準がありますので、マニュアルに従った交換を心がけてください。
2サイクルエンジンには、エンジンオイルとして「2サイクルエンジンオイル」が指定されています。このオイルはエンジン専用のオイルですから、他の用途には使用できません。ミッションに入れたりすることは避けてください。
A. 現時点で判明していることは「将来展望はない」という事実です。
2サイクルエンジンは「小型軽量」「低コスト」「高出力」などの特性を生かして小型の二輪車やオフロードバイクなどにさかんに使用されています。反面、「うるさい」「臭い」「汚い」などの欠点もあるところから、現代の乗用車で2サイクルエンジンはまったく生産されていません。2サイクルエンジンの将来展望の無さ、の大きな理由に99年10月から施行された「排気ガス規制」があります。
国内では最大の二輪メーカー「HONDA」はいち早くこの規制を先取りして、2002年には2サイクルを廃止して全面的に4サイクルに移行することを発表しました。HONDAは2002年末ですべての2サイクルの生産を終了させました。また、HONDAは排気ガス規制が実施されれば、現行の2サイクルエンジンに4サイクルと同じような「触媒」をマフラー内部に装着して当面をしのぐ予定です。
2サイクルエンジンから4サイクルエンジンに移行すれば、2サイクルエンジンオイルの必要性はなくなります。よって、2サイクルエンジンオイルの需要は一気に消滅するかも知れません。
A. 一般的なバイクは、エンジンとミッションを共用潤滑しているからです。つまり、エンジンもミッションも1つのオイルで済ましているということです。
バイクはまず、軽量コンパクトでなければなりません。このために複雑な要素を避け、できるだけ単純な構造にしているのです。では、なぜミッションに「ギヤーオイル」を使用せずに「エンジンオイル」を使用するのか? ですが、エンジンオイルもギヤーオイルの性能を有しているからです。具体的にはギヤーオイルの規格「GL-3」に合格しており、充分にギヤーオイルとしての使用が可能です。ただし、エンジンオイルなら「何でも良い」というものではありません。一般的なバイクのクラッチは湿式多板式を使用しており、オイルの中でクラッチが作動しておりますので、4輪車とは根本的にクラッチの構造が違います。
したがってメーカーの指定したオイルの粘度を守らないと、クラッチの切れ具合が悪化したり、シフトアップやダウンがたいへんしずらくなる場合があるのです。特に指定された粘度より高い粘度のオイル(10W-40なのに20W-50)を入れた場合にはこの傾向が強く現れますので、粘度グレードの選定には充分注意してください。
エンジンとミッションを1つのオイルで潤滑しているバイクは、その交換基準もしっかり管理する必要があります。なぜなら、エンジンとミッションの両方でオイルは痛めつけられるからです。
また、小型のバイクではオイルフィルターもありませんので、オイルのメンテナンスはたいへん重要ですし、常用回転数もはるかに高いバイクのエンジンには、早めのオイル交換を心がけることが大切です。
最近は水冷方式のバイクが主流になっていますが、空冷エンジンを搭載しているバイクは特に夏場の熱劣化に対する配慮も必要です。これらは国産バイクの一般的な車両の場合です。ハーレーダビットソンはエンジン、ミッション、クラッチをそれぞれ別のオイルを使用していますので、すべてのバイクにあてはまることではありません。
バイクのオイル交換は、水冷・空冷を問わず夏を迎える直前のオイル交換をお奨めします。なぜなら、特に熱で痛めつけられる夏を前にして新しいオイルに交換しておくのはクレバーなライダーといえるからです。
A. 空冷のバイクは2輪車の基本でもあり、一番オーソドックスなものです。ここでは4ストロークエンジンのオイル選びについて解説します。
空冷エンジンは走行風でエンジンの冷却をするものですから、大渋滞のようなエンジンのかかったままの状態ではエンジンの冷却がほとんど期待できません。したがって、空冷エンジンの場合は「耐熱性の高い」オイルを選定するのがポイントとなります。
しかし、一般のユーザーではオイルの耐熱性を判断するのはなかなか困難ですので、最近市場に出まわっている合成油を試してみるのも一つの方法です。この時、バイクに指定された粘度グレード(10W-40など)に合わせることを原則にしてください。
また、鉱物油の場合でも早めのオイル交換をしていれば、それほど心配することはありません。オイルは高い熱を受けると熱分解したり、熱による酸化が早くなったり、高温スラッジを作ってしまうなどのさまざまな弊害があるからです。
空冷バイクはロングストロークエンジンの場合が多く、オイルの粘度にも気を配る必要があります。あまり柔らかい粘度のオイル(5W-30など)を使用すると、ピストンとシリンダー間の油膜切れの心配があります。反対にあまりに固いオイルを選定した場合には「クラッチの切れ」が悪くなったり、シフトアップやダウンがたいへんしずらくなる場合もあります。これはバイク特有のメカニズムからくるもので、エンジンとミッションを同じオイルで潤滑しているから、です。
基本的には
「ロングストローク」エンジンには ・・・・・・・・・・・ 固めのオイル
「ショートストローク」エンジンには ・・・・・・・・・ 柔らかいオイル
このことを覚えておいてください。
いつも高温にさらされる空冷エンジンには適切な粘度のオイルを選ぶことと、オイル交換の時期を早めにするなどの注意をはらってください。
A. ここでは4ストロークエンジンのオイル選びについて解説します。水冷のバイクは空冷方式の進化型といえます。4輪車と同じ方式を採用することによりエンジン冷却の安定化がはかれ、空冷方式の弱点を補っています。しかし構造が複雑となり重量も増加、メンテナンスの手間も増えたりと、デメリットも多いのです。
水冷バイクの場合は空冷方式より熱害がないため、エンジンオイルに対する弊害も少なくなります。つまり、オイル面で見るとより優れた冷却方式であるわけです。ただし、バイクのオイル選びにはバイク特有の使用条件を加味しなければなりません。
水冷バイクにはスポーツタイプの車両が多く「ショートストローク」エンジンが主流です。エンジンの回転数も高回転を多用しがちですので、品質の良いオイルを選ぶことと、オイルの粘度にも充分配慮してください。ショートストロークは「軽い吹けあがり」が命です。あまりに高い粘度のオイルを使用するとエンジンが重たくなってしまいます。この時、バイクに指定された粘度グレード(10W-40など)に合わせることを原則にしてください。
参考までに
「ロングストローク」エンジンには ・・・・・・・・・・・ 固めのオイル
「ショートストローク」エンジンには ・・・・・・・・・ 柔らかいオイル
このことを覚えておいてください。
水冷エンジンだからと安心してはなりません。いつも高温にさらされると理解して、適切な粘度のオイルを選ぶことと、オイル交換の時期を早めにするなどの注意をはらってください。
A. 通常のバイク(特殊な場合を除く)には「テレスコピック式」のフロントフォークが2本あります。この内部にオイルが充満されており、ショックアブソーバーの役目をしています。バイクのフォークは車のショックアブソーバーに比べ長く、オイルの封入量も多くなっています。内部のオイルは車のショックアブソーバーに使用されるものと基本性能は同じです。
フォークオイルには次のような性能が要求されます。
オイル自体は比較的サラサラした柔らかいオイルです。使用前のオイルは無色透明ないしは淡黄色の色をしています。使用期間が長いとオイルがだんだんと黒ずんできます。
フォークオイルはご自分でも交換可能ですが、たいへん作業のしにくい機種もありますので、バイクショップに依頼する方法もあります。
最近の高性能バイクでは「ガス封入式」や、空気で圧力を与える「加圧式」などの機種もあります。これらのフォークはオイル交換がたいへん面倒になりますので、専門ショップへ依頼するのが良いでしょう。フォークオイルは使用すれば使用しただけ傷みます。特にオフロードバイクの場合は荒れ地走行の機会も多く、頻繁にオイル交換をするのが普通です。
オイルはバイクメーカーから「純正オイル」が市販されていたり、純正部品として販売されていますので、これを使用すると良いでしょう。
フォークオイルの交換をする時、色を見てオイルの傷み具合の判断ができます。透明感がなく黒ずんでいた場合は酷使された証拠です。オイルは必ず指定のオイルを入れてください。「オイルなら何でも良い」の発想は禁物です。
A. 4輪用のエンジンオイルの品質基準として定められた、次の規格の4輪用エンジンオイルをバイクに使用することは好ましくありません。クラッチ滑りが発生する場合があります。
以下にそのAPI品質基準を明記します。
API:SH以前の品質規格「SG」や「SF」であれば心配ありませんが、古い規格であるため、入手性に問題があります。以下にその理由を述べます。
JASO MA MBよりも摩擦係数の「高い」オイル ・・・・クラッチ滑りを起こさない高性能油
JASO MB MAよりも摩擦係数の「低い」オイル ・・・・クラッチの滑りはないが、最低基準油
このように、すでに現代では「4輪用」と「2輪用」は同じエンジンオイルでありながら、別々の性能を有する専用油になりましたので、バイクにはJASOMAやMB規格に合格したオイルの使用を推奨します。
JASO 規格合格油には必ず [JASO : MA ] などと容器に印刷されておりますので、容易に確認することができます。
なお、2輪用のエンジンオイルには粘度グレードのバリエーシュンはあまり多くありません。SAE:10W-30や10W-40が代表的な粘度グレードになります。
A.最近流行の4サイクルスクーターの場合であれば、4輪用のエンジンオイルを使用しても問題ありません。つまり、最新の品質規格油である4輪車用のAPI:SMでも良いわけです。
しかし、2輪用には専用のJASO:MAやMBがありますが、湿式クラッチを持たない4サイクルスクーターの場合は JASO二輪規格に合格したオイルは必要ありません。
その理由は以下のとおりです。
小型スクーターの場合は「2サイクルエンジン」を採用している場合が多いですので、エンジンオイルには「2サイクルオイル」を使用してください。
しかし、2サイクルエンジンは排ガス規制に対応できないため、抹殺される動きが出ておりますので、わが国の2輪メーカーではすでに2サイクルバイクの生産はしておりません。