A. 1903年、場所はNew Orleans。その頃はまだ灯油が主な製品の時代でした。灯油は食料雑貨店で販売されていて、客持参の容器にポンプで注入し販売していました。その灯油の仕入先は色で区別されていました。GulfがNew Orleansで商戦に勝とうとするなら、既に使われていない色を選ぶ必要があり、それがオレンジ色でした。
今のトレードマークの原型である、オレンジディスクが使われるようになったのはそれから数年後の事です。 1925年6月に登録商標として記載され、1937年1月に初めて特許局は公式にブルーの"Gulf"の文字の入ったオレンジディスクを承認しました。 その後若干のマイナーチェンジはありましたが、このロゴは60年以上会社と社の製品の代表として使われています。
A. オイルは原油を精製することにより抽出されます。原理は原油を加熱・沸騰させますと、蒸気が発生します。その蒸気を冷却すると次のような製品群がまず抽出されます。この方法を「常圧蒸留法」と呼びます。
1.石油ガス (LPG) | ・・・・・ | 冷却しても液体にならない | → | タクシーなどの燃料となる |
2.ガソリン・ナフサ | ・・・・・ | 最初に液化する | → | 自動車の燃料や化学プラントの原料 |
3.灯油・ジェット燃料 | ・・・・・ | 2番目に液化する | → | 暖房用やジェットエンジンの燃料 |
4.軽 油 | ・・・・・ | 3番目に液化する | → | ディーゼルエンジンの燃料 |
5.残 油 | ・・・・・ | 残ったもの | → | 2次工程でさらに精製する |
この段階では潤滑油(オイル)はまだ抽出されません。上記、5の「残油」をさらに「減圧蒸留」装置に通すと下記の製品が出てきます。
1.重 油 | ・・・・・・・・・・ | 産業用ボイラーや船舶の燃料 |
2.潤 滑 油 | ・・・・・・・・・・ | 潤滑油最終製品の基となるオイル(粗油) |
3.アスファルト | ・・・・・・・・・・ | 道路の舗装用 |
上記、2で取り出された潤滑油をさらに様々な工程を経て不純物を取り除き、各種の用途に適したオイルが作られます。この段階のオイルをベースオイルと呼びます。
ベースオイルにはたいへん多くの種類があり、さらに各種の粘度(オイルの粘りけ)があります。潤滑油メーカーはこのベースオイルに様々な添加剤を加えて最終製品に仕上げます。
最近「HVI」(ハイブイアイ)BASE OIL が注目されています。ベースオイルの精製方法の一つですが、水素と反応させて不純物を取り除く方法で、粘度指数の高い(高温になっても粘度低下の少ない)ベースオイルを作ることができます。高性能エンジンオイルを作る時に必要となるベースオイルです。
潤滑油の最終製品には数多くの種類がありますので、代表的なものを紹介します。
1.工業用潤滑油 | ・・・・・・ | 油圧作動油、工業用ギヤー油、タービン油、マシン油など |
2.車両用潤滑油 | ・・・・・・ | エンジンオイル、ギヤーオイル、ATF、パワステフルード |
3.舶用潤滑油 | ・・・・・・ | 大型船舶のエンジン油や作動油 |
4.ゴム化工油 | ・・・・・・ | 合成ゴムの原料、タイヤやその他のゴム製品加工用 |
5.金属加工油 | ・・・・・・ | 切削油、研削油、熱処理油、圧延油など |
6.冷凍機油 | ・・・・・・ | 冷蔵庫やルームクーラー、カークーラー、冷凍倉庫のコンプレッサー用 |
7.絶縁油 | ・・・・・・ | トランス油、電気絶縁油 |
8.その他 | ・・・・・・ | グリースや殺虫剤の原料など |
A. AMERICAN PETROLEUM INSTITUTE 「アメリカ石油協会」のことです。アメリカの石油業界に関連した約300の会社が加盟しています。
モーターオイルの規格を定める機関としては世界最高機関として認知されていますので、世界的にもAPI規格が広く知られており、現在も使用されています。API規格はオイルの品質を規定しておりますので、10W-40などの粘度表示で品質を判断するのは良くありません。
API分類では、ガソリンエンジン用の「S」シリーズ、ディーゼルエンジン用では「C」シリーズ、省エネオイルでは「EC」シリーズがあります。
ガソリン用オイルの「S」シリーズでは現在の最新規格はSNです。SMよりさらに品質向上油として2010年10月から発売開始となりました。参考までに「S」の後に付くアルファベットが A, B, C と進むにつれて、だんだんと品質が良くなっていることを表しています。
SA → SB → SC → SD → SE → SF → SG → SH → SJ → SL → SM →SN
本来のアルファベット順では「SH」の次は「SI」になるはずですけれど、SIは別の規格(国際単位の意味)として使用されていることや、数字の「1」と間違えやすいため「SJ」となりました。
また、「SJ」の後に続く「SK」は韓国にある石油会社の名称と同じのため「SL」と表現することに変更されたのです。APIの承認を受けたオイルにはシンボルマークとして「ドーナツマーク」を容器に表示することができます。下記にその例をあげます。
中心に書かれているのが「オイルの粘度」、上半分がAPIの規定する「規格」で、下の半分が省燃費性能のレベルを表しています。何も書かれていない空白のオイルは省燃費性能が認められなかったオイルです。
A. 「欧州自動車工業会」のことで、会員は西側ヨーロッパの自動車メーカーが主体となって独自のモーターオイルの規格を定めていました。Committee of Common Market Automobile Constructors の頭文字をとって「CCMC」と表現しています。しかし、欧州共同体(EC)の変化に関連した内部紛争によりCCMCはすでに解散してしまいました。
これらの規格は 1997 年まで使用されました。
1996年からCCMCに替わる新たな組織としてACEA(アセアと読む)が登場しましたので、同時に「ACEA規格」が制定されたのです。 CCMC時代の各規格については下記のとおりです。
わが国で販売されているモーターオイルにはAPIと同時にCCMC規格を併記する場合が多くなりました。これは、最近の外国車の売れ筋がヨーロッパ車が主体になってきたためです。
オイルメーカー各社ではAPI規格を表示すると同時にCCMC規格を明記している場合があります。いづれにしても、オイルの品質を表すもので、CCMCの表示がないから品質の悪いオイルであると決めつけるのは良くありません。
海外ブランドでは、欧州系のオイルメーカーがCCMCを表示するケースが多く、米国系はAPIのみの表示が一般的です。
いずれにしてもCCMCは古い規格ですので、現在は使用されておりません。
A. オイルの粘度(粘りけ)を表しており、正式にはSAE粘度グレードと呼びます。SAEとはSociety of Automobile Engineers「米国自動車技術者協会」のことで、自動車に使用されるオイルの粘度を規定しており、世界的に最もポピュラーに使用されています。
例えば、10W-40などの10Wの「W」とは冬場のWinterの頭文字を取ったもので、寒冷時のオイルの粘りけを「10」という単位で表しています。この数字の数が小さければ小さいほど低温時にサラサラした「粘度の低い」オイルとなります。
ハイフンでつながれた「40」という右側数字の意味は、夏場の高温側の粘度を表す数字で、この数字が大きければ大きいほど高温時におけるオイルの粘りけが強い「粘度の高い」オイルとなります。
現在市販されている粘度分類の代表的な種類は下記のとおりです。
低温側粘度 | 高温側粘度 |
---|---|
0W | 20 |
5W | 30 |
10W | 40 |
15W | 50 |
20W | 60 |
25W |
低温時を想定した使用環境では0Wは「-35゚C」、5Wは「-30゚C」、10Wは「-25゚C」まで使用できます。我が国で使用するならば「10W」で充分です。
これらをハイフンでつなげると0W-20、5W-50、10W-30、15W-40などの組み合わせができ、これらのオイルは冬場から夏場までオールシーズンで使用できるオイルのことを意味しており、マルチグレードと呼ばれています。
参考までに5W-50など、低温側の数字が小さく、高温側の数字の大きいオイルのことを「ワイドレンジ」と呼んでいます。このワイド化を達成するには高度な技術力が要求されますので、比較的高価な高級オイル(合成系)にメーカー各社がラインナップしています。
低温側粘度が低ければ(0Wや5W)寒冷地でのエンジン始動性に優れたオイルとなり、高温側粘度が高ければ(40 や50)夏場の渋滞などの高温時にも耐えるオイルということになります。
マルチグレードを考案したのはアメリカ。比較的気温の高いメキシコなどから、夏でも寒くなるカナダへ行くときなど、オールシーズンタイプのマルチグレードオイルなら安心なわけです。
A. シングルグレードのオイルは、現在のようにオイル配合技術が進歩する前に使用されていたオイルのことでひと昔前のオイルといって良いでしょう。現代では一般に販売されているケースはほとんど見られませんので、入手も困難です。
昔はオイルのマルチグレード化を達成する技術が未熟だったために、秋口になると冬場に備えた粘度の低い「柔らかいオイル」に交換し、春になると夏場に備えて「粘度の高いオイル」に交換する、年2回のオイル交換が必要でした。しかし、現在ではこれらの手間を解消するため、オイルのマルチグレード化が進みましたので、このようなめんどうな作業はまったく必要なくなったのです。
一例として、10W-40などのオイルでは冬から夏まで年間を通して使用できます。このようなオイルのことを「マルチグレード」、別名を「オールシーズンタイプ」と呼んでいます。
現在でも、大型のディーゼルエンジンを搭載している大型トラックや建設機械のディーゼルエンジンにはシングルグレードが指定されています。わが国では「SAE 30」が一般的です。
しかし、今後登場してくる次世代ディーゼルエンジンオイルではマルチグレードが主流となり、シングルグレードのディーゼルオイルは過去のものとなるでしょう。
ごく特殊な場合を除き、ガソリン車でシングルグレードのオイルを使用するケースはほとんどありません。今でも使用しているのは、空冷エンジンを搭載しているフォルクスワーゲン・ビートルぐらいです。したがって、現在ではシングル・グレードのモーターオイルを製造しているメーカーもごくわずかとなってしまいました。
外国のオイルメーカー(特に米国)は今でもシングル油を持っている場合が多いですので、シングルグレードを探す場合の参考にしてください。
シングルグレードの使用例では、一般的な使用では「SAE30」が多く夏場では「40」、特に暑い地域では「50」番を使用します。反対に、冬期の使用では「10W」や「20W」を使用します。どうしてもシングルグレードが手に入らない場合には米国系石油会社の「20W-50」で対応してください。
A. この「S」については2つの説があります。その1つ目は火花点火機関「Spark Ignition Engine」の頭文字の「S」を取ったもので、火花点火とはガソリンエンジンの点火方式としてあまりにも有名です。
2つ目はかつて自動車先進国といわれていた米国を発祥の地として生まれた「Service Station Engine Service」の頭文字「S」を取ったものです。Service Stationとはわが国でも「SS」と略して呼ばれているガソリンスタンドのことです。
一般的には後者の説が有力とされていますが、理論的には前者の説が正しいと思われます。いずれにしても、ガソリンエンジン専用のモーターオイルの品質を規定する記号の「S」です。
この「S」の右側に付くアルファベットはAから順番に付けられ、後になればなるほど品質の高いオイルであることを意味しており、車の進歩とともにオイルも進化したことがわかります。
SA → SB → SC → SD → SE → SF → SG → SH → SJ → SL→ SM → SN
解説: SEよりSFの方が品質が高く、SLよりSMが品質の優れたオイルとなる。
現在の最高品質を意味するのはSNです。SM規格は2011年9月末で廃止されます。「SI」と「SK」は他の規格に使用されていたり、会社名と重複しているため欠番になっています。
参考までに、ディーゼルエンジンの品質を規定する場合は「C」の記号が用いられています。
SNのオイルをSJやSLが指定されているエンジンにオイル交換してもまったく心配無用です。なぜなら、SN油はより優れた性能と品質を有しているからです。反対に、SNを指定されているのに、下の品質を示すSHなどでオイル交換することは好ましくありません。
A. エンジンオイルにはガソリンエンジン専用のものと、ディーゼルエンジン専用のものとがあります。これは、オイルの設計段階で根本的に異なるスタートをする、という意味があります。
しかし、燃料と点火方式の違いだけで、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンはたいへん似た要素がたくさんあります。現在市販されているオイルの中にはガソリンとディーゼル、どちらのエンジンにも使用できるオイルがあり、「ユニバーサルオイル」と呼ばれています。
ユニバーサルオイルかどうかを判断するには、ガソリン用の品質を意味する「SL」などと、ディーゼル用の品質を表す「CF-4」などの文字がハイフンなどでつながれているかどうかで分かります。
「SL/CF」または「CG-4/SJ」などと容器に記載されているガソリン用の品質を表す「SJ」などが先に書かれている場合は、その品質設計がガソリン用を主体に開発されたもので、「ディーゼルエンジンにも使用できます」という意味です。
反対に「CG-4/SJ」なとど記載されたものは、ディーゼルエンジンを基本設計として誕生したオイルと判断することができます。この場合も「ガソリン車にも使えます」と考えてください。
使用に際しては、ガソリン・ディーゼルどちらのエンジンにも使えますので、ガソリン車を所有しながらディーゼル車も持っているユーザーには、別々のオイルを買う必要がなく、たいへん便利なオイルです。
このユニバーサルオイルの発祥地はアメリカ。たとえ郊外や砂漠のど真ん中でもオイルが容易に手に入るように考えました。ガソリン専用やディーゼルだけのオイルでは入手性に問題があったのです。どちらの燃料でも使えるオイルはまことに都合の良いことになりますので、アメリカの合理性を強く感じます。
ユニバーサルオイルだからといって、どんな用途にも使えるというものではありません。使用できるのは4サイクルのガソリンエンジンとディーゼルエンジンだけです。
A. まず最初に、ご自分の車に付いている「取扱説明書」を良く読んでください。その中には「エンジンオイルの交換について」の項目が必ず記載されていますので、メーカーの指定または推奨するオイルの品質と粘度グレードをチェックしてください。
一般的には「トヨタ純正SM級 5W-30」などと記載されています。ここで注意しなければならないのはアルファベットの文字でSL級と書かれていた場合、SLより上級品質のSMオイルを使用するのには問題ありませんが、SJやSH級など下のランクのオイルを使用することは好ましくありません。下記に品質の良くなる基準を示します。
SA → SB → SC → SD → SE → SF → SG → SH → SJ → SL → SM → SN
メーカーはエンジンを設計する場合は使用するオイルについても強く関与していますので、この理由がおわかりになると思います。
次に粘度グレードを表す5W-30などの例では、指定された粘度のオイルを入れるのがベストです。しかし本来、粘度グレードを選ぶのはメーカーではなくユーザーの使用環境、つまり車を使用する時の外気温度により選定するのがベストです。例えば、北海道や東北などの寒冷地で使用する場合は5W-30などの低温側粘度の低いオイルを。反対に気温の高い地域での使用が中心の場合は10W-40や10W-50などの高温側粘度(右側の数字)の高いオイルを使用するべきです。
したがって、メーカーの指定する品質(SMなど)を守っていれば、粘度グレードは上記の使用環境温度から判断されると良いでしょう。しかし、最近の傾向は省燃費性能を発揮する、粘度の柔らかいオイル「0W-20」を年間を通じて指定する車両メーカーが増えてきています。
車は一年中使用するものです。オイルを1つの粘度に決定する場合に、超低温から真夏の渋滞まで耐えるオイルを希望する場合は合成系の「5W-50」を選ぶ方法もあります。価格は高いですが、高性能オイルとしてオイルメーカー各社がラインナップしています。
A. エンジンオイルはエンジンを保護するために使用されるのは言うまでもありません。まず、オイルの3大性能について述べます。
オイルの最も重要な性能です。金属同士がふれ合うところには必ずオイルが供給されており、摩擦の低減と金属摩耗を防止をしています。もしオイルがない場合には金属同士が直接ふれ合い、「発熱 → 焼き付き → エンジン破壊」と、重大なトラブルの発生につながります。オイルは金属同士のふれ合う隙間に入り込み、金属同士の直接ふれ合うことを防止しています。
ピストンとピストンリングの隙間を埋めて爆発エネルギーを密閉、爆発ガスの「吹き抜け」を防止しています。このガスはブローバイガス(未燃焼ガス)と呼ばれ、人体にもたいへん有害であり、エンジン内部を汚す原因となります。この性能は爆発時だけでなく、圧縮行程にも密封効果を発揮して「圧縮漏れ」を防止しています。
エンジン内部は爆発行程により常に高温にさらされています。エンジンを冷却する方法には「空冷式」「水冷式」の2つの方法がありますが、エンジンの内部で最初に熱を受けとめるのがオイルなのです。ピストンには「ピストンリング」(コンプレッションリング)と「オイルリング」があり、オイルはこれらのリングとピストン、ピストンとシリンダーのごくわずかな隙間に入り込みながら熱を奪い、自ら「冷却性能」を発揮します。同時に、クランクシャフトで跳ね上げられたオイルがピストンを冷却しています。あの有名なポルシェ911は空冷エンジンを採用していることで良く知られており、13リットルものオイルを搭載して、別名を「油冷エンジン」とも呼ばれています。
これらの3大性能に加えて、さらに下記の3つの性能があります。
エンジン内部を常にクリーンに保つ大切な性能です。エンジン内部は未燃焼ガスや燃えカスのカーボンなどの様々な有害なもので満たされています。オイルには「清浄分散剤」が添加されており、オイル自身がこれらの汚れを内部に取り込み、汚れがエンジン内部に付着することを防いでいます。エンジンオイルが黒く汚れるのは、オイルがこの性能を発揮しているからなのです。したがって早く汚れるオイルは品質が悪いのではなく、逆にこの清浄性能が高い良いオイルであるわけです。
極端に強い力(極圧)を受ける場所(クランクシャフトのメタル部分など)にオイルが存在することにより、最初に力をオイルが受けとめ、自らショックを吸収して力を分散させます。
オイルが金属表面に付着することで、水分や酸素、有害ガスなどと直接ふれ合うことを防止して金属が錆びるのを防いでいます。この性能は一見地味ですが、欠かすことのできないオイルの大切な性能です。
A. エンジンオイルにはオイルの性能を高めるために様々な添加剤が配合されています。
エンジンオイルの酸化を抑制する効果を発揮します。最近の車のエンジンルームは補機類で満杯になっていますし、渋滞なども加わるとエンジンの冷却が悪くなり、熱によるオイルの酸化も促進されてしまいます。オイルが酸化されると粘度が上昇します。酸化防止剤はオイルの酸化を防ぐ目的で添加されますので、オイルのロングライフ効果を発揮します。
エンジンの内部を掃除する役目を負っている大切な添加剤です。つまり、エンジン内部を常にクリーンに保つ能力を高めるために使用されます。しかしオイル交換を怠ると、この効果も限界(よごれの飽和状態)に達してしまいますので、定期的なオイル交換が必要となるわけです。
エンジンの熱を受けてもオイルの粘度が大きく低下しないようにする効果を発揮します。マルチグレード(オールシーズン)のエンジンオイルを作る時に欠かすことのできない添加剤です。
オイルは極端に寒い時には流動性を失い、始動性が悪くなってしまう場合があります。この添加剤は低温になってもオイルが堅くならないようにする効果を発揮します。
すごく大きな力を受け止める箇所の金属摩耗を防止するために加えられるもので、オイルの潤滑性能(金属保護)をさらに高める働きがあります。
エンジン内部の金属摩耗防止を高める効果を発揮する添加剤で、専門的には摩擦面で二次的化合物の保護膜を作ります。つまり、すべりをより良くする効果を発揮します。
エンジン内部でオイルがかき回されると泡が発生します。泡があると油膜切れを起こしてしまいますので、その泡を瞬時に消す効果を発揮する添加剤です。
文字どおり、エンジン内部の金属が錆びるのを防止するために使用されます。
オイルに色を付けるために使用するものです。オイルの性能を高める効果はありません。
A. 現在の車輌メーカーのほとんどが自社の純正油を持っています。車に付いている「取扱い説明書」のオイルの項目に必ず指定オイルが記載されています。
DIYなどでは「純正油」が低価格で販売されていますので、イメージとして「品質が悪い」のではないかと思われがちです。
純正油を製造しているメーカーは大手の石油元売ですので、品質的には安心できるものと考えてけっこうです。車輌メーカーはエンジン設計段階でオイルにも強く関与しますので、最適なオイルは「純正油」と判断してもかまいません。
しかし、純正油は「通常の使用環境」において「最低限の性能」と理解することもできます。したがって、「純正油」では満足できない方には次のようにアドバイスします。
取扱い説明書に書かれている、品質を表すAPIサービス分類(SLなど)と粘度分類(5W-30 など)に一致するオイルを選定するのが基本です。
すでに、マーケットでは車両メーカー純正油をはじめ、海外ブランドのオイルもたくさん販売されておりますので、車のオーナーが自由に好みのオイルを選択することができるようになっています。
また、エンジンにチューニングを施した場合などは、パワーアップに伴い発熱量も多くなってきますので、チューニングショップなどのアドバイスを参考にしてください。
A.「ノンポリ配合」のオイルが発売されるようになってきました。「ノンポリ」とは「ノンポリマー」を略したもので、ポリマーをまったく含まないエンジンオイルのことです。「ポリマー」(Polymer)とは重合体のことで、いくつもの分子同士が重なっている物質のことです。この「ポリ」という文字は「ポリエチレン」や「ポリバケツ」など日常でも私たちが良く耳にする言葉です。
さてオイルの分野でポリマーといえば、粘度指数向上剤(Viscosity Index Improver = VII)のことを指します。この粘度指数向上剤はエンジン内部でオイルが高温にさらされても粘度低下を起こさないように添加される大切な添加剤で、一般市販のエンジンオイルにはすべて使用されている、と断言しても良いほどです。マルチグレードのオイル(10W-30 など)をつくる場合には必ず使用されています。
しかし、この VII にも大きな欠点があるのです。それは、エンジン内部で「せん断」(強い力で物を引ちぎろうとする力)を受けると分子構造が破壊され、分子同士が分断されてしまいます。
ノンポリ油はこのポリマー(VII)が無いわけですから「せん断」を受けても分子構造の破壊が無いわけです。せん断を受けたオイルは粘度低下として現れます。つまり、新油時の粘度より柔らかくなってしまうのです。一例として「10W-50」のオイルが使用中には「10W-30」になっていた、などです。
粘度低下は高温側の数字に大きく現れてきます。そこで、ノンポリ油は VII に替わる特殊な素材を投入して粘度低下の少ない高性能オイルを開発したわけです。
現在、ノンポリ油は主流のオイルではありませんし、発売しているメーカーも少ないのが現状です。価格も高く特殊用途(レースなど)のオイルと考えてください。しかし、今まで述べて来たとおり「高温でも粘度が低下しない」高性能を発揮するオイルには間違いありません。
あえて高価なノンポリ油を使用しなくても、ある程度の性能のオイルを適切に交換していれば、エンジンに対する悪影響はありません。高価なノンポリ油でロングライフを狙うか、リーズナブルな価格の物でオイル交換をマメにやるか、はユーザーの判断に委ねられるところです。
A. ガソリンエンジンオイルの性能を判断するのに使用されていたアルファベットは「A」から順番に付けられており、「SH」の後は「SI」になるはずでした。しかし、APIは「SI」を使用せずに新規格として「SJ」を採用しました。
その理由は次のとおりです。
このように「SI」は他の意味と混同しやすいために混乱をさける意味で「SJ」になりました。
一方、「SJ」の後に来る最新規格は「SK」と表現することで作業が進められていましたが、1999年6月に「SL」と表現することが決定されました。理由は下記のとおりです。
この韓国の石油会社は以上の理由を正式にAPIに提言しました。APIではメンバーの会議にてこの申し入れを受理、結果「SK」を止め「SL」と表現することになりました。