A. この「C」については2つの説があります。
まず1つ目の説は、圧縮点火機関「Compression Ignition Engine」の頭文字「C」を取ったものです。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと違って、自ら圧縮した燃焼室に燃料を吹き込んで「自爆させる」方式を採っております。
もう1つの説は、米国を発祥の地とする「Commercial and Fleet Engine Service」の頭文字の「C」を取ったという説です。
コマーシャルカーとは小型の商用車を意味しており、一般的に商用車はディーゼルエンジンを搭載している場合が多かったためにつけられた名称で、Fleetとは大型トラックのことを意味しています。一般的には後者の説が広く使用されていますが、理論的には前者の説が正しいと思われます。
いずれにしても、ディーゼルエンジン専用に使用されるエンジンオイルの品質を規定する記号の「C」です。この「C」の右側に付くアルファベットは順番にAから付けられ、後になればなるほど品質が高いオイルであることを意味しており、順次品質の向上がなされています。特に、CG-4、CH-4、CI-4は「低硫黄軽油」に対応したオイルです。最新の高性能油は「CJ-4」で、米国では2006年に運用が開始されました。
CA → CB → CC → CD → CE → CF-4 CG-4 → CH-4 → CI-4 → CJ-4
1995年末でCE以前の規格はすべて廃止となりました。
このAPI CJ-4などの規格は、米国内において使用される車に適しておりますが、排ガス規制の異なるわが国ではJASOが定めたDH-2やDL-1のディーゼルオイルが必要です。
最新のCJ-4オイルをCG-4やCH-4が指定されているエンジンにオイル交換してもまったく心配無用です。なぜなら、CJ-4の方がより優れた性能と品質を有しているからです。反対に、CJ-4を指定されているのに、下のグレードのCH-4やCG-4などでオイル交換することは好ましくありません。
A.「CI-4(シーアイフォー)」は2002年9月5日から運用開始されたAPI規格の最新規格です。開発のポイントは「排気ガス規制対応」「EGR 増加条件」「ロングドレイン」の3項目です。
この「CI-4」は最新の排気ガス規制に対応する「高速運転用」のディーゼルオイルとなりますので、高温耐久性の向上を果たさなければならないのは一つ前の規格「CH-4」と同様です。同時に硫黄分の少ない軽(硫黄分 0.05% = 500ppm)に対応するのも「CH-4」と同じです。
CI-4 のオイルは下記のオイル性能が改善されています。(旧CH-4対比)
CG-4からCH-4に移行した時に大幅に改善された「増粘対策」はCI-4ではさらに試験基準が厳しくなりました。エンジンオイル内に大量の煤が入ることでディーゼルオイルは粘度が増加(増粘)してしまいますので、長期間オイルを使用しても増粘しないよう品質基準が厳しく定められました。
このようにCI-4はそれ以前のCG-4やCH-4より格段に高性能を要求されていますので、さらに高品質であると同時に「環境配慮型」の高性能油に進化しています。
APIの厳しいエンジンテストに合格したオイルには「ドーナツマーク」が与えられるのはもちろん、従来のディーゼル規格「CH-4」「CG-4」「CF-4」「CF」「CE」「CD」の性能をカバーしている万能のオイルです。
このAPIの厳しいエンジン試験に合格するには多額の費用(約3000万円)が必要となりますので、各オイルメーカーのコスト負担はたいへん大きくなりました。
A. CCMCとは「欧州自動車工業会」のことで、会員は西側ヨーロッパの自動車メーカーが主体となっており、独自のディーゼルオイルの規格を定めています。
しかし、欧州共同体(EC)の変化に関連した内部紛争によりCCMCは解散してしまいました。
乗用車用ディーゼルでは「PD」シリーズがあり、PDとは「Passenger Car Diesel」の頭文字を取ったものです。
CCMC PD-2は小型ディーゼル用の規格でXW-30、XW-40、XW-50を規定しているもので、1997年まで使用されましたが、1996年には新たな規格としてACEA(アセアと読む)規格が登場しました。
ヨーロッパの乗用車はディーゼルエンジン搭載の比率がたいへん多く、車輌メーカー各社も小型で高性能のディーゼルエンジン車を必ずラインナップしています。
大型ディーゼルでは「D」シリーズがあり、1997年まで使用され1996年からはACEA規格が新たに登場しました。CCMCの「D」シリーズには次の分類があります。
このCCMCは古い規格ですので、現在は使われておりません。
A. 使用できる場合もあります。
判断の基準はAPIサービス分類の表示にガソリンエンジン用を意味する規格とディーゼルエンジン用の規格を意味するアルファベットが同時に記載されている場合はガソリンエンジンにも使用可能です。具体的には「API:SL/CF」や、ただ単に「CF/SL」と記載や表示がされていれば、ガソリン・ディーゼル共用油です。「SL」のSはガソリンの規格、「CF」のCはディーゼルの規格です。
ここで注意するべきことは、ガソリン使用を優先に品質設計されたオイルはガソリン規格が先に書かれており(上の SL/CF)「ディーゼルエンジンにも使用できる」と解釈してください。反対にディーゼル規格が先に書かれていれば(CF/SL の例)「ガソリンエンジンにも使用できる」と理解して下さい。これらの、ガソリン・ディーゼル共用のオイルのことを「ユニバーサルオイル」と呼んでいます。
ディーゼルエンジンは燃料が軽油です。軽油の中には「硫黄分」が含まれており、燃焼時に有害な「硫黄酸化物」を生成して、エンジン内部を腐食させる「強い酸」(硫酸)となります。ディーゼル専用油には、この酸を化学的に中和させる「アルカリ成分」が添加剤として多めに加えられています。つまり、ガソリン用のオイルはこのアルカリ分(専門的にはアルカリ価という)が少ないというわけですから、ディーゼルに使用するのは好ましくありません。
最後に、ディーゼル規格だけの表示のオイル「CF」や「CG-4」はディーゼルエンジン専用油です。
A. 基本的なところではどちらもエンジンオイルであるため、たいへん似ているといって良いでしょう。つまり、オイルの基本性能はほとんど同じです。違うところでは、燃料の違いによる部分で大きな違いがあらわれています。
ディーゼルエンジンは燃料が軽油です。軽油の中には「硫黄分」が含まれており、燃焼時に「硫黄酸化物」を生成して、エンジン内部を腐食させる「強い酸(硫酸)」となります。ディーゼル専用油には、この酸を化学的に中和させる「アルカリ分」が添加剤として多めに加えられています。つまり、ここがガソリン用を主体に開発されたモーターオイルと基本的に違う部分です。したがって、ディーゼルエンジンには専用のオイルをお奨めします。
次に、粘度グレードについても違いがみられます。ガソリン用は省エネタイプの5W-30をはじめとしてさまざまな粘度グレードが用意されていますが、ディーゼル用では、あまり粘度グレードのバリエーションがありません。代表的なものは10W-30や15W-40です。これはディーゼルエンジンの圧縮比がたいへん高いため、圧縮もれを防止する意味からあまり低い粘度にすることができないからなのです。しかし、最新の次世代ディーゼルエンジンでは「5W-30」を指定する動きも出ています。良くカーショップでは、ディーゼル・ガソリンどちらにも使用することのできるオイルが売られています。このオイルのことをユニバーサルオイル呼びます。
ご自分の車が排気量も少ない(2000cc程度)のディーゼル車の場合は10W-30を。排気量も大きく(3000cc以上)時々オフロード走行などを行うRVなどには15W-40が最適です。また、走行距離も多く酷使されたエンジンには比較的粘度の高い「15W-40」を推奨します。
A. これは、燃料に軽油を使用している以上しかたのないことです。ご存知のように、ディーゼルエンジンの排気ガスはススが多く、黒い煙を吐き出します。排気ガスの内部に多量のススがあるということは、エンジン内部にも多くのススが存在し、オイルを汚す原因の1つにもなっています。
そこで、最近の排気ガス規制ではSPM(Sunpended Particlulate Materials = 浮遊粒子状物質 = 煤)規制の強化により次世代エンジンでは煤の発生が少ないエンジンに進歩しています。
オイルはこのススをオイル内に取り込み、エンジン内部に付着するのを未然に防いでいます。あまり長期間にわたりオイル交換を怠ると、ススを取り込む能力も低下(飽和状態)しますので、エンジンのためには早めのオイル交換をお奨めします。
また、多量の煤がエンジンオイルの内部に取り込まれるとオイルの粘度が上昇(増粘)して燃費が悪化したり、加速の低下やエンジン摩耗が促進されるなどの様々な弊害が出てきます。つまり、油中に取り込まれた「煤 = カーボン」は固い粒子のため、エンジン摩耗に対しても不利な条件となります。
オイル交換をしてもすぐに黒くなってしまうのは上記のとおりですが、あまりに気になるようでしたら、1度フラッシングオイルでエンジン内部のクリーンナップをお奨めします。それでもすぐに汚れるようでしたら、設計がかなり古いエンジンですので、清浄分散性能に優れた最新の高性能油を使用して、オイル交換頻度も上げるべきです。この時に選ぶオイルの粘度は比較的高粘度油となる「15W-40」を選定してください。ピストンとシリンダー間のクリアランスが大きくなった古いエンジンには粘度の高いオイルを使用すると好結果が期待できます。
A.現在のオイル技術の水準から判断すると、省エネタイプの設計思想はオイルの粘度を下げる方法と摩擦低減剤を添加する方法があります。つまり、柔らかいサラサラのオイルが省エネタイプのオイルとなります。具体的には「5W-30」などがその代表的な例となり、一部のディーゼル車の指定粘度になる動きも出始めており、将来はディーゼルでも「5W-30」の時代が来ると予想されています。
現在、ディーゼルオイルの主流の粘度は「10W-30」や「15W-40」です。上記の「5W-30」と比較すれば低温側粘度と同時に高温側粘度も高いことがおわかりになると思います。徐々に省エネタイプのディーゼルエンジンオイルを販売しているメーカーも出てまいりました。
ディーゼルエンジンの圧縮比はガソリンエンジンと比較すると、倍以上の高圧縮比となっています。参考までに、ガソリンが高くてもせいぜい圧縮比は「10」程度、しかしディーゼルは低くても「20」程度あります。圧縮比が高いということは圧縮もれを防止しなければなりません。エンジンオイルにも密閉性能が要求されていますので、あまりに粘度の低いオイルでは、この密閉性能を維持するのは困難となります。したがって、ディーゼル用のオイルは比較的粘度の高いオイルが使用されるのです。
しかし、最近になり比較的低粘度(5W-30や5W-40など)のオイルが指定されるようになりましたが、エンジン設計側より「低粘度油」使用を前提に改良が施されています。
また、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより高温で使用されますので、熱による粘度低下(熱の影響でオイルがサラサラになる)や、熱による酸化劣化にも注意を払わなければなりません。
ディーゼルエンジンには新たな排気ガス規制が施行されています。同時に環境保護の見地から軽油に含まれる有害な硫黄分の除去(低硫黄化)、ススを取り去る装置や排気ガス清浄装置(触媒)、排気ガス再循環装置(EGR) などのさまざまな機構やインフラが整備されてきますので、よりクリーンなディーゼルエンジンが登場しています。
1998年には[ISUZU]自動車とメルセデスベンツが「コモンレール」式の次世代ディーゼルエンジンを発表しましたので、各車両メーカーが追随を開始しました。今後はコモンレール式の燃料供給システムにすべて移行すると予想されています。
最近ではRVや乗用車タイプの小型ディーゼルエンジン用に「省エネタイプ」が発売されていますが、これらのオイルを大型のディーゼルエンジンに使用することは好ましくありません。あくまで「小型ディーゼル専用(乗用車用)」と考えてください。
A. コモンレールは最近良く聞かれるようになった、ディーゼルエンジンの用語です。
排気ガス規制の強化により、完全燃焼(煤や有害ガスが少ない)を促進するために導入されたシステムです。「コモン」の意味は「共通」、レールは燃料パイプのことを意味しています。従来方式はポンプから直接各気筒に燃料を分配しておりましたが、コモンレールは、燃料(軽油)を従来のポンプで発生した圧力(燃圧)よりもはるかに高い圧力で共通のパイプ(コモンレール)にいったん蓄え、蓄えられた高圧の燃料をコモンレールから各気筒に分配しています。高圧となった燃料は高度に電子制御されたインジェクターにより燃焼室に吹き込まれます。
高度な電子制御は「噴射時期」と「噴射時間」を制御するとともに、本格的な噴射の前に少しだけ噴射する(プレ噴射)などの細かい制御を行い、完全燃焼を促進します。燃料が高圧で噴射されることにより、霧の粒が小さく細かいために、良く空気と混ざり合い、燃料の気化が促進され、より完全燃焼に近づけることが可能となりました。燃料が完全燃焼すれば「煤」の発生は少なくなります。
参考までに、従来方式とコモンレール式の燃圧を比較します。
1998年にメルセデスベンツとISUZU がほぼ同時に発表、99年になると自動車メーカー各社からコモンレール式の次世代ディーゼルエンジンが続々と発表され、現在はこのコモンレール式が主流になつています。
コモンレール式エンジンは排ガスがきれいなことはもちろん、ススの排出も少なく、環境配慮型のエンジンと言えます。
ISUZU のコモンレール式エンジンの場合は5W-30のエンジンオイルが指定されていますので、できるだけ指定の粘度を守ってください。ISUZU方式はインジェクターの開閉に高圧となったエンジンオイルを利用していますので、あまりに粘度がはずれると好ましくないのです。特に、高粘度油(15W-40)の使用は避けてください。
ISUZU は市場で販売されているすべての粘度でエンジンテストをしたようですが、寒冷地において「5W-30」以外の粘度(10W-30)を使用するとエンジンが始動できないなどのトラブルが出ます。
A. 4WDやRVがブームとなり、新車の販売台数も好調に推移しています。一般的に4WDやRVはヘビーデューティーの使用を考慮して、ディーゼルエンジンを搭載している場合が多く見られます。ただし、例外としてガソリンエンジン搭載車もありますので、4WD専用といっても充分注意する必要があります。
オイルメーカー各社からリリースされている「4WD 専用油」や「RV 用」はディーゼルエンジンを対象としたオイルですので、容器やカタログを良く見てディーゼル用であることを確認してくだい。基本的にはディーゼルエンジンオイルですから、4WD専用油と表現するのは少し疑問の残るところです。オイルメーカー各社が4WD人気に便乗して商品ラインナップした、と判断しても良いでしょう。
しかし、実際にはディーゼルエンジンオイルですからディーゼルエンジン搭載車に使用するのであれば問題ありません。粘度グレードはごく一般的な10W-30や15W-40が主流です。
わが国の高速道路もずいぶんと網羅されてきました。したがって、高速走行の機会も増えておりますし、荒れ地走行などの低速・高負荷運転などの使用についても充分考慮された4WD専用オイルになっております。
毎週末にオフロード走行などの過酷運転をされる方には15W-40を、ほとんど市街地走行だけの場合は10W-30がお薦めの粘度グレードとなります。ご自身の使用環境からオイルの粘度を判断してください。
A. 技術的にディーゼルエンジンオイルの合成油を作ることは可能ですので、最近は「合成油」のディーゼ オイルが発売されています。
ディーゼルエンジンはまず「経済性」が重視されます。燃料も軽油を使用するため維持費も安く済みます。また、大型トラックやバスなど業務用の使用が中心ですから、より経済性は重要となってきます。
合成油の原料コストは通常の鉱油に比べはるかに高く、合成油の製品を発売しても価格面で疑問が残り、販売も好調に推移するとは思えません。つまり、いくら高性能でも「価格の高い」ディーゼルオイルは市場性がない、という分析もできるわけです。
しかし、これからより厳しくなるディーゼルエンジンの排ガス規制をパスするには、合成油の助けを借りることも充分考えられますので、ディーゼル用の「合成油」が各社から発売されはじめました。
最近登場している全合成ガソリン用モーターオイルの中にはSL/CFなどとディーゼルの規格をクリアー(上の例ではCF)した製品も登場していますので、ディーゼルエンジンにも使用できます。
しかし、使用に際しては乗用車用のディーゼルエンジンなどの軽負荷運転が主になるものをオイルメーカーは想定していますのでトラックなどの大型ディーゼルエンジンには適しません。
A. 現在、判明している内容で説明します。
まず「CF-4」は1996年の終わりごろまで使用される予定で、その先の動向がまったく不明でした。しかし、1995年1月より「CG-4」の認定作業が開始され、さらに1998年12月には「CG-4」よりさらに高性能・高品質の「CH-4」が出現しました。そして、2002年9月からさらに高性能油として「CI-4」の運用が開始されました。そして、米国では「CI-4」に替わる新規格油API CJ-4が開始されました。
ディーゼルエンジンの燃料はご存知の「軽油」です。軽油はガソリンに比べればはるかに精製度が悪く、硫黄分を多く含んでいるため、排気ガス中に「硫黄酸化物」が生成され、大気汚染(酸性雨)の原因とされています。
ディーゼルの排気ガス清浄化には次のアプローチがなされています。
上記の要求項目に対してオイル側のアプローチとしては次のテーマがあります。
これらは、石油会社や車両メーカー、エンジンメーカーや部品メーカーなどが一丸となって取り組まなければなりませんが、すでに世界各国の主要メーカーは次世代のディーゼルエンジンを発表しています。とうぜん、オイルも現在より「より過酷な」運転条件下におかれますので、環境保護要求の高まりからオイル品質の向上を達成しなければなりません。
A. 我が国独自のディーゼルエンジンオイル規格のことです。
当初は開発コードの「DX-1」と呼ばれていましたが、2000年秋に正式に規格が制定された結果「DH-1」の呼称に改められ 2000年10月10日に「JASOエンジン油規格普及促進協議会」から正式に発表されました。認定作業はすべてJASO(自動車技術会)が行います。
しかし、品質の優れた「CH-4」や「CI-4」オイルであればトラブルに至らない場合もありますので、CG-4は悪いオイルと決めつけるのは良くありません。この「DH-1」を販売しようとするオイルメーカーは自ら指定された各種のエンジン試験を実施、結果をJASOに提出して承認を受けます。この方法を自己認証システムと呼びます。JASOにて承認が得られたオイルには「承認番号」が与えられ、販売することが認められます。
この「DH-1」は日本だけでなく、日本製エンジンを使用するアジア地域でも広く使用されると予想しますが、使用者は運送業者などの業務用需要が主となりますので、小型の乗用ディーゼルや RV 車への利用は進まないと推測します。新たに「DH-1」が制定されたため、今まで業務用油の主流であった「CD」クラス油(S-3 #30など)は生産中止になる見込みです。
A. 我が国のディーゼル排ガス規制強化に対応する新しいディーゼルエンジン規格です。もっとも重要な点は「排ガス清浄装置」(DPF =ディーゼル・パティキュレート・フィルター)の目詰まりを防止するための品質基準が新たに設けられたことです。
規格は我が国の「自動車工業会」と「石油連盟」がガイドラインを作り、自動車技術会がオイル性能やエンジンテストの詳細を決めています。
オイルの基本性能は2000年10月に発効された「DH-1」と同レベルです。
このように、従来オイルメーカーが使い慣れた添加剤の使用が制限されることとなり、「無灰分散剤」を多用することになります。
分散剤とは油中に入り込んだ燃えカスのカーボン(スス)を沈殿させることのないようにオイル中に安定分散させる作用を発揮します。
この「DH-2」は2003年10月から東京、埼玉、千葉、神奈川が実施する排気ガス規制強化に応える新しい環境配慮型のディーゼル油です。用途は大型トラックやバス等の業務用需要が主となります。
A. TOYOTAの新型ディーゼルエンジン「1KD-FTV(3,000cc)」はハイエースやランクル、トヨエースなどに搭載されている、平成17年新長期低排出ガス規制に合格している次世代のディーゼルエンジンです。このエンジンにはJASO DL-1規格に適合した専用のディーゼルエンジン油が指定されています。
エンジンオイルの警告灯が点灯した、とありますので、オイルパン内の油面が上昇、レベルゲージのアッパーレベルを超えたために警告灯が点灯したのです。このエンジンにはアッパーレベルセンサーが装備されています。警告灯が点灯した時は運転を控え、すぐにDL-1適合油でオイル交換をしてください。
では、走行中になぜオイルレベルが上昇するか、ご説明します。
以上が油面上昇の原因と対策となります。
今後、我が国でもガソリン価格高騰の影響から、ディーゼル車が注目されており、車両メーカー各社も排ガス規制をパスした次世代ディーゼルエンジンを続々と搭載してくる気運が高まっています。
Gulfではオイルメーカー各社に先駆けJASO DL-1適合油の開発に着手、すでに次のブランドを発売しております。
A. APIサービス分類は時代の変遷とともに下表のように変化、進歩してまいりました。
記号 | 具体的な適用 | 備考 |
---|---|---|
CA | 良質な燃料を使用した軽度から中程度条件のディーゼルとガソリンエンジン用。 軸受腐食防止性、高温デポジット防止性が必要される。 摩耗防止性とデポジット防止性は要求されない。 |
MIL-L-2104A 1940~1950 年代に使用 |
CB | 軽度から中程度条件のディーゼルエンジン用だが、低質燃料使用時の摩耗とデポジット防止性を必要とする。 高硫黄分燃料使用時の軸受腐食防止性と高温デポジット防止性も要求される。 |
MIL-L-2104B 1949年以降 に使用 |
CC | 軽度過給ディーゼルエンジンの中程度から過酷運転条件用。 高荷重運転のガソリンエンジンにも使われる。 軽度過給ディーゼルでの高温デポジット防止性、ガソリンエンジンでのさび止め性、腐食防止性と低温デポジット防止性が必要。 |
MIL-L-2104B MIL-L-46152B 1961年以降 |
CD | 高速高出力運転で高度の摩耗およびデポジット防止性を要求する過給ディーゼルエンジン用。 広範な品質の燃料を使用する過給ディーゼルを満足させる軸受腐食防止性および高温デポジット防止性が要求される。1995年末で規格廃止。 |
MIL-L-45199B MIL-L-2104D 1955年以降 |
CE | 1983年以降製造のヘビーデューティーの過給ディーゼルエンジンで低速高荷重と高速高荷重とで運転するものの両方に用いる。 CDよりさらにオイル消費性能、デポジット防止性とスラッジ分散性能を向上させたもの。1995年末で規格廃止。 |
1983年以降 |
CF-4 | 品質はCEに準ずるが、高速エンジン試験が追加されたことにより高速・高負荷に耐えるオイル。 CEに比べ熱安定性、オイル消費防止性、ピストンデポジット抑制力が改善された。NA、ターボどちらでも高性能を発揮しなければならない。 |
1991年以降 |
CF | オフロード(オフハイウェイ)で使用される間接噴射式の建設機械や農業用のディーゼルエンジン用。 CDに替わるものとして開発され、CD以上の性能を発揮する。 |
1994年以降 |
CG-4 | 1995年より制定された過負荷・高速エンジン用。 品質的にはCF-4を基本とし、硫黄分の少ない軽油に対応したオイル。 排ガス対策用のオイルである。高温ピストンデポジット、腐蝕、気泡、酸化、スス堆積を効果的に抑制する。 |
1995年以降 |
CH-4 | 1998年12月より導入の最新規格。過負荷・高速エンジン用。 品質的にはCG-4を上回る耐摩耗性、粘度低下防止性、泡立ち防止性の向上、オイル消費量の改善や非鉄金属に与える影響が改善された。 CG-4と同様に排ガス対策用のオイル。 |
1998年12以降 |
CI-4 | 2002年9月より導入された最新規格。厳しい熱・酸化安定性が要求され、EGRと煤を増加させたエンジン試験が大幅に導入された。 オイルシールに使用されるゴム素材との適合性も厳しくチェックされ、オイルのロングライフ性も要求される。環境配慮型の最新オイル。 |
2002年9以降 |
上記の規格のほかに「CD-II」と「CF-II」のディーゼルオイルがありますが、2ストロークディーゼルエンジン(主に大型船舶用)に対応する規格ですので、自動車用からは除外しました。