A. エンジンオイルは使用すれば使用しただけ性能が低下するからです。現代の最高水準のエンジン設計をして、さらに最高品質のエンジンオイルを使用してもオイル交換をしない訳にはまいりません。従って、定期的なオイル交換が必要となります。一般的には「走行距離」で判断するのが良いでしょう。
仮に、エンジンオイルを怠った場合の弊害を列挙します。
オイル交換時期の判断は車に付いてくる「取扱説明書」の半分の距離で実施するのが良いでしょう。また、使用期間については半年毎、を守っていれば、エンジンの傷みはありません。
A.まったく問題ありません。ただし、指定された粘度(例えば、10W-40など)は守っておいた方が賢明です。自動車用モーターオイルは時代とともに次のように進歩してまいりました。
SA → SB → SC → SD → SE → SF → SG → SH → SJ → SL → SM → SN
このように、「S」のあとに付くアルファベットがAから順番に、だんだんと品質が良くなっていることを表しています。したがって、SMの方がSGより品質が優れていますので心配ないわけです。
古い車の場合、エンジンのオーバーホールをした時は別として、エンジン内部のピストンやシリンダー、カムシャフト、バルブガイド、バルブリフターなどの摩耗が進んでいることが考えられますので、指定された粘度ないしは、指定より若干固めのオイルを選定するのが良いでしょう。指定された粘度よりやわらかいオイルは避けた方が賢明です。
10W-30の指定に対し10W-40や15W-40などを入れ、5W-30などのオイルは避けた方が良いのです。このように、若干オイルの粘度をあげることにより、ピストンとシリンダーの広くなったクリアランスをオイルで塞ぎ、圧縮漏れやオイル減りを防止することができるからです。
A. 古き良き時代のアメリカ車は排気量も大きく、アメリカンV8と呼ばれる旧式のOHVエンジンを搭載していました。古い車のエンジンに共通していえることは、エンジン工作技術が未熟だったために工作精度も現代のエンジンと比較するとはるかにレベルが低いといわざるを得ません。つまり、工作技術が未熟だったため各部のクリアランスを広くとる必要があったわけです。
したがって、オイルの密封性能も重要な要素となりますので、柔らかいサラサラのオイルでは「圧縮漏れ」を起こしたり、オイルがピストンの隙間から抜けだして燃えてしまうという現象も起こります。これを防止するためには、低温側粘度と高温側粘度の両方の高いオイルが必要となります。具体的には20W-50等のオイルがお奨めの番手となります。
アメリカの石油会社やオイル会社は必ず20W-50を市販しておりますので、わが国ではアメリカ系石油会社の製品を選ぶと良いでしょう。20W-50は現在主流のオイルではありません。古い車専用やアメ車用といっても差し支えないでしょう。同時にメーカーによっては、「レースにも使用できるオイル」として販売している場合もあります。20W-50は数字が示すとおり、粘度が比較的高いですから「省燃費オイル」ではありませんし、古い車でも小排気量の車に使用すると多少パワーロス(軽快感がなく重たく感じる)する場合があります。
現代のアメリカ車の品質向上はめざましく、工作精度も向上しており、日本車や欧州車に劣る部分も少なくなっていますので、20W-50の使用は過去のものとなりつつあります。今後のアメリカ市場のオイルは「省燃費性能」を重視した5W-30などの低粘度油が主流となるでしょう。
A. フラッシングという言葉の意味は「洗う」ということです。いくつかのメーカーから「フラッシング・オイル」として専用のオイルが販売されています。
エンジン内部は使用期間が長期にわたると、オイルパンの底部やヘッドカバーの裏面にスラッジ(堆積物)やワニス(不純物が熱で塗料のように張り付いたもの)を生成します。これらの不純物はこくわずかづつ付着、堆積してゆきますので、なかなかエンジンの性能ダウンに気付かない場合が多いのです。
本来ならば、エンジンをオーバーホールすればご自分の目で確かめることができますが、オーバーホールの作業は専門の業者に委ねなければなりませんし、その金額も多額となります。
そこで、フラッシングオイルを1度使用することをお奨めします。フラッシングを終了して、フラッシングオイルを抜き取った時に、その汚れ具合を確認することがたいへん重要で、もし「真っ黒」の状態であったなら、エンジン内部が相当「汚れていた」ということになります。原因としては「粗悪品のオイル」を使用していたか、オイル交換を「怠っていた」ことが考えられます。もともと、モーターオイルにはエンジン内部をクリーンに保つ「清浄分散剤」が適切に添加されておりますが、あまり長期の使用ではその能力も限界に達してしまうのです。
中古車を業者から購入した場合などは、前のオーナーの使用状況がまったく把握できませんので、1度使用してみる価値はあります。
当社のフラッシングオイルの成分は、エンジンオイルに使用される「ベースオイル」の比較的粘度の低い(柔らかい)オイルに、「清浄分散剤」(エンジン内部をクリーニングする成分)だけを加えて作られています。たとえ、エンジン内部に少量残留してもまったく心配ありません。
しかし、フラッシングオイルだけで走行することは「絶対に避ける」べきです。メーカーによっては、ごく少量(300ccとか500cc)を交換直前のエンジンオイルに加えて数100Km走行後に、エンジンオイルと共に抜き取る製品もあります。中には「灯油」を主成分とした粗悪品のフラッシングオイルもありますので、信頼できるメーカーの製品を選んでください。
ご自分でなさる場合は説明書に従い、ショップに任せる場合は信頼のおける店を選ぶことが重要です。最近の全自動オイルチェンジャーでは「フラッシング機能」を持った機種も登場しています。
エンジンをフラッシングする方法で一番贅沢なのが交換しようとするオイルで行うこと。オイル業界用語では「とも洗い」と呼びます。少々お金がかかりますけれど、余裕のある方はどうぞお試しください。
A. オイル交換基準は車の「取扱い説明書」に書いてあるとおり「走行キロ」で判断します。しかし、本来の交換基準は「時間」で判断するのを理想とします。今でも建設機械などは時間計で判断しています。一般の乗用車の場合は走行キロで判断せざるを得ませんので、走行キロを基準として話を進めてまいります。
石油系鉱物油の場合、初期の性能が約1500Km時から下降線をたどり始めますので、理想的な交換基準は1500Kmということができます。しかし、これではあまりに贅沢でもあり、資源の有効利用という観点からも、あまり積極的にはお奨めできません。
車輌メーカーの交換基準キロ数を守っていれば安心、ということもいえますが、これは「交換基準の上限」と考えてください。メーカーの指定距離の1/2がお奨めの交換基準です。実際に車を使用する立場とオイルメーカーの品質低下分析結果から判断すると、早めなら3000Km毎、長くても5000Km毎の交換をお奨めします。なぜなら、一般走行の場合は渋滞などのほとんど停止状態でもエンジンは回っていますから、やはりこの分も計算に入れる必要があるわけです。
時々、オイルを売りたいためにレベルゲージのオイルの色で判断する場合や、オイルを指に取り粘りけを判断して、「もう、ソロソロダ!」などという場面に出会いますが、タールのように真っ黒なオイルなら別として、目や指の感覚でオイル交換時期を判断できるものではありません。
オイルには清浄分散剤が添加してあり、エンジン内部の燃えカスやカーボンなどを自らオイル内部に取り込む性能がありますので、あまりに長期にわたりオイルを使用すると、この性能も飽和状態に達してエンジン内部にスラッジやワニスを生成させてしまうことになります。走行距離とは別に、使用期間の月数でも判断する必要があります。6カ月を目安として交換していればベストの状態が保たれます。したがって、走行キロ数と経過月数を併用してオイル交換するように心がけてください。
それから、オーバーヒートを経験してしまった時などは、オイルが熱により痛めつけられていますので、早めのオイル交換をお奨めします。オイルは高温に長時間さらされると、熱劣化を起こしてしまいますので注意が必要です。特に、ターボ装着車は熱の発生量が多いですから、オイル交換基準はノンターボの約半分とお考えになったほうがベターです。
最近登場の合成油は耐熱性能が高いですから、鉱油に比べて交換基準を大幅に延長することが可能です。合成油は安定した物質を化学的に作りだしていますので、熱やその他の悪条件に対しても強い抵抗力を示します。
A. 新車の1000キロ整備はオーナーが必ず出さなければならない整備で、通常はメーカー系の整備工場が実施します。最近では新車購入後1ヶ月ほどで葉書が届きます。この時に必ず「オイル交換」をします。「たったの1000キロでオイル交換???」というところですが、これには正当な理由があります。
エンジンには各部の適切なクリアランスが必要で、金属表面は一見ツルツルのようでも顕微鏡の世界では山や谷があるデコボコ状態です。初期の運転で、金属表面の山を削り取り、よりなめらかな金属表面にするのが「ならし運転」となります。このならし運転がメーカーの指定する1000キロなのです。
メーカーで基準どうり組まれたエンジンでも生産工程時に発生する金属の「バリ」があります。最初のオイル交換でこの「バリ取り」もしているわけで、出てきたオイルには無数の金属粉が混じっています。この時とうぜんオイルフィルターも交換されます。この1000キロ整備を怠ると、金属粉で満たされたままのオイルでエンジンを使用することになり、エンジン摩耗に対してたいへん悪い影響を与えます。
最近の国産車は新車時の「ならし運転は必要ない」、ともいわれていますが、上記の理由から冷静に判断すれば、初期のならし運転は絶対に必要なことがおわかりになると思います。余談ですが、2サイクルエンジンはこの初期ならしをキッチリやるかやらないでその後のエンジンの性格を決めてしまうほど重要な要素として、現在でも「ならし運転」が指定されています。
車を大切にする人には次のような「ならし運転」を推奨します。
1000Kmまで 最大回転数を3000rpm・・・・・ 急発進などの過激運転を慎む
2000Kmまで 〃 4000rpm ・・・・・ 時々、全開運転も加える
3000Kmまで 〃 5000rpm ・・・・・ 時々、スポーツドライビングを行う
これで、メニューが完了ですが、3000Km走行後にオイル交換を行ってください。しっかり「ならし運転」を行うと、エンジンの寿命はもちろん、自分のドライビングスタイルに合ったエンジンに仕上げることができます。
A. 車を大切にするなら「ナラシ運転」は絶対に必要です。エンジンはもちろんミッションなどの駆動系を含め、金属同士の接触面において特に重要になります。良く、最近の車には「ナラシ運転は必要ない!」といわれていますが、これから述べることをご理解いただければナラシ運転の必要性がわかるはずです。
最近の工作技術の進歩はめざましいものがあり、昔に比べて比較にならないほど面精度が向上していますし、わが国の工作精度は世界一にもなりました。しかし、金属表面をミクロの世界で見てみると荒野のごとく荒れ放題、デコボコだらけの表面になっているのが確認できます。見かけ上平面同士で接触している場所は現実には凸の部分同士での点接触になっています。これを専門用語では「真実接触面」と呼んでいます。
例えば、エンジン内部の最も重要な部分のメタルにおいて、見かけの面積の数百分の一から数万分の一の面積でしか荷重を受けとめていないことになります。これでは大荷重に耐えられるはずもなく、無理な運転をした場合には大きなキズを金属表面に残してしまいます。金属同士の接触面には必ずオイルが供給されていますが、デコボコ面ではせっかくのオイルが凹部分に溜まってしまい、凸の部分にまで行き渡らないことになります。このデコボコは機械加工された直後が最も多く、エンジンを使用すればしだいに凸部分が削れて平らになってくるのです。
したがって、ナラシ運転をすることはこの凸を取り去る作業と理解してください。削られた金属は金属粉となりオイルの中に存在しますので早めのオイル交換が必要になります。ナラシ運転中は最大回転を3000rpm程度に抑え、完了までは無理な運転はつつしんでください。急発進や急加速、過激なシフトダウン、全開走行やオーバーレブは禁物です。
車を大切にする人はワンランク上の粘度のオイルに交換してからナラシ運転に入ります。例えば10W-40が指定なら15W-50を入れるなどで、凸同士の接触面の油膜強度を上げてやろうとする考えです。
初回は約1000キロ走行で必ずオイル交換を実行してください。この時、オイルフィルターも必ず交換してください。
A. オイル交換を容易にするためにエンジンにはあらかじめドレインコックが付いています。通常はこのドレイン(ボルト状)をレンチでゆるめて古いオイルを抜き取ります。古い車は、このドレインがオイルパンの最低部(真下)に付いていましたが、最近のエンジンでは底部の横についている場合が多くなりました。これは、荒れ地走行などでボルトをヒットしないようにしてあることと、オイルパン容量を少なくする意味でボルトを直下に付けなくなったのです。しかし、横からオイルを抜いても少量の古い汚れたオイルが残ってしまいます、つまり「全て抜ききれない」欠点があるのです。
そこで最近開発された「上抜き方式」のオイルチェンジャーでは、特殊ノズルを考案して、オイルパンの最低部まで届くようにしてあります。したがって、最新型の全自動オイルチェンジャーなら、古いオイルをほぼ100%抜き取ることができるようになりましたので、かえって下抜き方式より良い結果が得られます。同時に車の下にもぐって、ドレインを外す手間も省け、手も汚れない、さらに抜き取り後のドレインの締め忘れなどのうっかりミスも防止できます。
ドレインを開いて、ボルトを再装着する時は専用ワッシャーの交換をする必要がありますが、この手間も省け、今後はこの「上抜き」方式が主流となるかも知れません。
A. まず、次のものを用意してください。(*印は再使用が可能ですが、部品交換するのがベストです)
以上のものが準備できたらエンジンをかけ、暖気運転をしてオイルを暖めてください。オイルが冷えていると抜き取りに時間がかかりますので、走行後しばらくエンジン温度を冷やしてから行うと作業が楽です。
A. まず、ご自分の車に適合する新品のオイルフィルターを購入してください。純正部品ならメーカー系のディーラーや整備工場、純正でなくても対応部品がカーショップで販売されていますので比較的簡単に入手できます。
オイルフィルターには2種類あり、旧式車の場合は内部の「エレメント」だけを交換するものがあります。この方法は一見経済的なようですが、手間と時間もかかるため、すでに使い捨てタイプに移行されました。しかし、最近になり日産車の一部のディーゼルエンジンは昔の「分解式」に戻しています。これは、廃棄物の処理を考えた「環境問題対応」と推測します。ここでは使い捨てタイプの交換方法を解説します。
まず、購入してきたオイルフィルターと同じ物がエンジンに取付られていますので、場所を確認してください。フィルターの取付位置はエンジン毎に様々なところにありますので一定の場所ではありません。これは、車の取扱い説明書にも記載されていますので確認できます。
エンジンは「必ず停止」させ、フィルターを専用レンチで緩めてください。専用レンチがないと外せませんので、カーショップなどで購入しておくと良いでしょう。フィルターを外すとフィルター本体とエンジン取付側よりオイルが漏れる場合がありますので、きれいなウエスで余分なオイルを拭き取ってください。走行直後の作業は「やけど」の危険がありますので、エンジンが冷えてから作業してください。取り外したフィルターにはオイルが少量含まれていますので、オイルが流れ出しても良いようにウエス等で包むなどの配慮をしてください。
次に、新しいフィルターの取付部分のゴムパッキンに、指に付けた少量のエンジンオイルを塗ります。これは接合部の動きをなめらかにすると同時に、締め付け時のゴムパッキンの破損を防止します。この時のオイルはレベルゲージを抜き、指に付けると便利です。最近の市販フィルターにはパッキンにすでにオイルが塗られている物もあります。取付の最後は締め付けて完了となります。しかし、この時にレンチは使用せずに必ず「手の力」で締め付けてください。あまり、強い力を加える必要はありません。レンチ等で強く締めると後で外せなくなりますので注意が必要です。
フィルターの取付が完了したらエンジンをかけ、もう一度フィルター部分からオイル漏れがないかを必ず確認してください。正しく取り付けられていないと取付部分よりオイルが漏れてきます。取り外した「古いフィルター」は環境保護のため適切に処理してください。
A. オイル量をチェックするのは「始業点検項目」に指定されています。しかし、なかなかこれを実行している方は少ないようです。まず、良くない方法は気の向くまま気が付いた時に、場所を定めないで実行することです。しかし、チェックしないよりは良い方法です。
ここで正しいオイルチェックの方法を紹介します。
同じ場所を使用するということは、車の停止している状態が常に一定だからです。できるだけ水平な場所を選んでください。
エンジンスタート前の冷えている時というのは、常に温度条件を一定に保つ意味があります。しかし、温度条件を一定にするならば、帰宅後(エンジン停止後)にする方法もあります。良くないのは、エンジンが冷えている時と走行直後など温度条件が一定でないことです。
物質は温度を加えると体積が増加します。オイルも冷たい時と比べて高温時には熱膨張により体積が増えていますので、このことが理解できるはずです。つまり、厳密にいえば「冷たい時」の量と「高温時」の量を比較しても意味がないということです。
賢いドライバーはオイルチェックの条件を常に一定にしていますので、始業点検で行えば良いということになります。
オイルの量をチェックする時には、量だけでなく「オイルの色」(黒ずんでいないか)や匂いにも注意を払ってください。オイルの点検を入念に実施することにより、思わぬトラブルを未然に防止することができます。
A. 反対です。品質の良いエンジンオイルほど汚れるのが早いのです。エンジンオイルには添加剤として「清浄分散剤」(Detergent-Dispersant)が加えられています。厳密には「清浄剤」(Detergent = 合成洗剤)と「分散剤」(Dispersant = 四方に散らす)を融合した添加剤です。
エンジン内部は圧縮モレによる「未燃焼ガス」や、爆発時に発生する「燃えカス」などの様々なエンジン内部を汚す物質で満たされています。特に近年のエンジンは排気ガス規制の強化により、エンジン内部はますます汚れやすくなっています。
「清浄剤」はエンジン内部の汚れを洗い流します。しかし、きれいにしただけでは汚物が沈殿してスラッジとなってしまいます。
「分散剤」は「清浄剤」が洗い流した汚れをオイル中に安定的に分散させます。この働きにより、エンジン内部にスラッジが沈殿することを防止しています。
「清浄分散剤」が適切に配合されたオイルはこれらの働きが良いわけですから、オイル交換をしてもすぐに黒くなってしまうわけです。反対に、長期間にわたりなかなか黒くならないオイルは「清浄分散剤」の量が少ないか、効果をあまり発揮していない、といえます。
「清浄分散剤」の効果にも限界があります。長期にわたってオイル交換をしなかった場合には、オイルが黒くなるのはとうぜん、せっかく油中に取り込んだ汚れが飽和状態となり、ヘッドカバーやエンジン内部の壁面にこびりつき、焼付塗装をしたように強固に付着してしまいます。このようなことにならないためには定期的なオイル交換を心がけてください。
A. まず、パワステフルードの点検方法から解説します。
油圧式のパワーステアリング装着車には、必ずエンジンルームの中にパワーステアリング用のオイルタンクがあります。場所が良くわからない場合には車に付いている「取扱い説明書」で確認してください。オイルタンクのキャップにはオイル量を測る棒(レベルゲージ)が付いていますので、そこの目盛りを読みとってください。
各々、このラインまでにオイルがあれば問題はありません。
もし、これらのラインより下を示した場合には「パワステフルード」を補充しなければなりません。補充する場合の量はそれほど多くありませんので、入れすぎに注意してください。タンクからあふれるほど入れてしまうと、熱膨張によりオイルの体積が増加してキャップから漏れてきますので「HOT」ラインまでとしてください。一般的な車のパワステフルードには「ATF」が使用されていますので、オイルの補充は「ATF」となります。
「ATF」はパワステフルードルとしても使用できるよう規格が定められていますので心配ありませんが、最近の車ではメーカー純正油でないとステアフィーリングが変化するなどのトラブルもありますので、一度車両メーカーに問い合わせすると良いでしょう。
パワステ機構が正常ならフルードが減ることはありません。ご自分の車のパワステフルードがたびたび減る場合にはオイル漏れのトラブル発生が考えられます。オイルが漏れていれば必ずオイル漏れが発見できますので、エンジンルームの下側やステアリングラック付近を点検してください。
最悪の場合、オイルがゼロでも運転は可能です。ただし、信じられないほど極端にステアリングが重くなりますので、運転には充分注意しながら修理工場に直行してください。
最近のパワステには「油圧」を使用しない「電動式」(モーターを使用する)もありますので、すべてのパワステにATFが使用されるわけではありません。