A. まず最初にご自分の車に付いている「取扱説明書」を良く読んでください。その中には「エンジンオイルの交換について」の項目が必ず記載されていますので、メーカーの指定または推奨するオイルの品質と粘度グレードをチェックしてください。一般的には「トヨタ純正 SJ 級 10W-30 」などと記載されています。同時に交換基準が走行キロ数で記載されています。この基準に合っているオイルを選定して、交換基準(走行キロ)を守っていれば問題はありません。
しかし、純正オイルでは満足できない方には次のとおりアドバイスをします。ターボ車はエンジンの発熱量がターボ未装着車(NA)に比べてはるかに多く、オイルもより過酷な条件下に置かれます。熱の発生量が多いということは、オイルの熱による酸化劣化も促進されるのです。
したがって、ターボ車はNAに比べてオイルの交換基準の走行距離がはるかに短く指定されています。つまり、ターボ車のオイル交換は頻繁に行わなければならないわけです。
次に粘度グレードについてでは、ターボチャージャーの心臓部であるシャフトの潤滑にもエンジンオイルが使用されています。ターボチャージャーの回転数はエンジンとは比べものにならないくらい高回転(1分間に 10 万回転以上)になりますので、あまり粘度の高いオイル、例えば20W-50や 10W-50 などのオイルを使用すると、シャフト部分のオイルの流速が低下して、トラブル発生の原因となります。シャフト部分のオイルは「高圧」、「高速」で流れており、シャフトの潤滑と冷却を受け持っています。
反対に粘度の低い(サラサラした)オイルを使用すると、流速と冷却には問題はありませんが、油膜切れの心配があります。また、ピストンリングのシール性が低下して圧縮もれや爆発エネルギーの吹き抜けを懸念しなければなりません。
しかし、最近では合成系のオイルで 5W-50や15W-50の比較的高温粘度の高いオイルもターボ車対応に品質設計されてきましたので、容器やカタログなどを良くお読みになると良いでしょう。
いずれにしても、ターボ車は特殊車両の一部とお考えになり、特にオイルのメンテナンスには注意を払う必要があります。同時にスーパーチャージャー装着車にも同じことがいえます。
高性能のターボ車のエンジンを守る秘訣は、オイル交換をマメに!!
ブーストアップした場合などはチューニングの度合に応じてオイルの粘度を固めにしてください。
A.「スーパーチャージャー」は「ターボ」より歴史が古く、すでに戦前にはレースカーに採用されていました。スーパーチャージャーとターボの決定的な違いは、ターボが排気エネルギーでタービンを駆動するのに対し、スーパーチャージャーはエンジンの動力でコンプレッサーを動かします。
一番古いタイプは「ルーツ式」で、その後下記のようなタイプが発明されています。
いずれの方式もすべて「コンプレッサー」であり、目的はより多くの混合気を吸入側にむりやり押し込むものです。
さて、機構的な要因からオイル面を見てみますと「スーパーチャージャー」の方が「ターボ」に比べて「熱」に対する配慮は少なくなります。つまり過吸機の熱害はターボより少なくなりますが、耐熱性を高めてある「ターボ」用オイルは最適なオイル、といえます。
最近のオイルメーカーは「NA」用と「ターボ」用とを分けて品揃えしているケースが多くなりましたが、スーパーチャージャー専用のエンジンオイルはまだ登場していません。
NA用オイルでも高品質なオイルを選定していればそれほど心配することはありません。耐熱性に強い「合成油」を選ぶのも一つの方法です。つぎに粘度グレードではメーカー指定の物を基本にして、あまり大きく外れない粘度を選んでください。
ターボにしてもスーパーチャージャーにしてもエンジン出力を向上させるために考え出された機構で、簡単にいえばチューニングされたエンジンとなります。出力の増加に伴いエンジンの発熱量は多くなりますので、熱に対する配慮を充分にしてください。オイル交換の基準は「ターボ車」並と考えてけっこうです。
また、TOYOTA車のスーパーチャージャー付き車両のメンテナンスには、スーパーチャージャー軸受専用オイルが指定されていますので、マニュアルに従い「純正油」を使用してください。
A. NAエンジンとは「Naturally Aspirated Engine」の略で、別名「Nomal Aspiration」とも呼ばれ「自然吸気エンジン」のことを意味しています。自然吸気とは過給器(ターボなど)を利用しない吸入システムを採用したエンジンのことです。
NAエンジンはレスポンスの遅れもなく、最近のスポーツ指向エンジンに多くみられます。まずNAエンジンは高回転領域で最大出力を発揮したり、高回転域でのトルク特性に優れたエンジンに設計されています。したがって、ボア・ストロークの関係ではショートストロークエンジンが多く、高回転を多用する場合がたいへん多くなります。高回転域までエンジンはストレスなく軽く吹けあがることが重要になりますので、オイル側にも様々な条件が要求されます。つまり軽い吹けあがりを助け、オイルの粘度による抵抗もパワーロスにつながりますので、比較的粘度の低い「柔らかいオイル」が要求されます。具体的には「5W-30」のオイルが最適です。
これらのオイルは低温側粘度(冬場の粘度)が「5W」や「0W」になっていますので、低粘度油と呼ばれるものです。
最近のオイルメーカーは「ターボ用」と区別してNAバージョンを発売しており、スポーツ用では「5W-40」になっています。
オイルは高回転時にも油膜を維持する高い「油膜強度」が要求されますので、レースなどで実績のある信頼できるメーカーの製品を選んでください。最近では、低温側粘度をさらに引き下げた「0W-30」などのNAオイルが登場しています。
ターボ用のオイルは低温側粘度が「10W」から始まる場合が多く、同時に高温側粘度も大きい場合が多いですので、NAエンジンに入れた場合にはオイルが粘度抵抗となり、軽い吹けあがり感がなくなってしまいますので注意してください。
A. 近年、エンジンの高性能化に伴い、様々な制御機構が登場しています。そのなかでも「可変バルブ機構」は今まで夢のメカニズムとして技術者のあこがれの的でした。しかし、我が国の高度な技術力は夢を現実の物にして一般市販車にも搭載され、手軽に高性能エンジンを手に入れることが可能となっています。
「可変バルブ」とは「低中速域」では「低速用カム」を使用して、「高回転域」に入ると「高速用カム」にバトンタッチする複雑な機構です。低速カムと高速カムの2本のカムシャフトを用意するのではなく、油圧制御により「カム」だけを切り替える巧妙なメカニズムになっています。
代表的な可変バルブ機構は「HONDA V-TEC」や三菱「MIVEC」で、すでに各メーカーからも続々と可変バルブ搭載エンジンが発売され、一般化が進んでいます。
バルブの切替えをする力は「油圧」です。エンジンオイルの一部を油圧作動油として機能させ、オイルの力でカムの切替えを行なっています。油圧を使用する、と言うことは「油圧の安定」がなければ正常な作動は期待できません。
また、暖機が終了するまではオイルが冷えているために(粘度が高い)充分に可変バルブが機能しない、欠点を持っていましたが、油圧に頼らない「電磁式」可変バルブ方式の実用化に期待がかけられています。よって、可変バルブ機構を採用しているエンジンには「車両メーカーが指定している粘度」(5W-30 など)から大きく外れない粘度グレードを選定してください。単純には「メーカー指定粘度」に合わせるということです。
大きく粘度が外れた場合は、カム切替の作動ポイントがずれたり、高速カムに切り替わらない、などのトラブルが発生します。
これは、ラッシュアジャスターを採用しているバルブ機構も同様のことが言えますので、ラッシュアジャスター付のエンジンの場合も、メーカー指定の粘度から大幅にはずれないようにしてください。
A. カムとバルブリフターの接触面にはエンジンオイルが供給されており、金属同士が直接触れ合うことのないように保護しています。
しかし、長期にエンジンを使用すると、この間が摩耗してクリアランスが増加してしまいます。これを補うために、旧式のエンジンでは「バルブクリアランス調整」(別名、タペット調整)をしなければなりませんでした。これでは、あまりに手間と時間(お金も)かかるために考案されたのが「ラッシュアジャスター機構」です。
摩耗した部分のクリアランスを常に理想的に維持することにより、メンテナンスフリー化が実現しました。メカニズムはラッシュアジャスターの内部にエンジンオイルが入り込み、油圧の力でクリアランスを適切に保つようにしています。油圧を使用する、と言うことは「油圧の安定」がなければ正常な作動は期待できません。
よって、ラッシュアジャスター機構を採用しているエンジンには「車両メーカーが指定している粘度」から(5W-30 など)大きく外れない粘度グレードを選定してください。単純には「メーカー指定粘度」に合わせるということです。仮に、メーカー指定の粘度から大きく外れた場合には、アジャスターが正常に作動しないのはもちろん、最悪ではラッシュアジャスターその物が破損するケースもありますので、充分注意する必要があります。
すでに油圧を使用しない「ボールネジ式」のアジャスターが登場しましたので、油圧に頼るアジャスターは過去のものになるかも知れません。
これは、可変バルブ機構を採用しているエンジンにも同様のことが言えますので、HONDA V-TECや三菱のMIVEC 搭載車は注意してください。ポイントはメーカー指定の粘度から大幅にはずれないようすることです。
A. ロータリーエンジンはレシプロエンジンと異なり、回転するローターによって吸入、圧縮、爆発、排気を行います。レシプロよりコンパクトで高出力のためスポーツカーに使用されています。
現在、一般市販車に量産エンジンとしてロータリーを生産しているのは世界でも「マツダ」ただ一社となってしまいました。
潤滑方式は4サイクルガソリンエンジンと同じ「圧送潤滑」の主潤滑と、2サイクルエンジンのようにオイルを吸入系統に注入してローターとシリンダーのガスシール(アペックス・シール)を潤滑する副潤滑の2系統を持っています。しかし、副潤滑系統で使用されるオイルは非常に微量であるため、副潤滑系統に使用されるオイルには2サイクルエンジンオイルに要求される特性は必要ありません。厳密には、副潤滑は2サイクルエンジンオイルがベストであり、レースではガソリン中にごくわずかの2サイクルエンジンオイルを混ぜて使用する場合もあります。
理想的には低灰分のエンジンオイルが最適です。「低灰分」とはオイルが燃やされても燃えカスの灰分を残さない添加剤のことです。
現在のところロータリー用のエンジンオイルの公的な規格は存在していませんので、一般的にはメーカーの指定した品質の4サイクルガソリンエンジンオイルが使用できます。参考までに「FD-3S」(13B エンジン)の場合は「10W-30」または「10W-40」が指定されています。その後、モデルチェンジした「RX-8」は従来のターボを捨てNAロータリーに進化しました。純正油は低粘度油「0W-20」を指定していますが、潤滑不足になるようなことはありません。
ロータリーエンジンは高出力であるところからエンジンの発熱も多く、オイルの「熱劣化」に対する配慮も必要です。耐熱性の高い高性能オイルを使用したり、交換基準を早めにする方法がエンジンをベストの状態に保つことができます。ロータリーターボ(FC や FD)の場合はさらに熱に対する配慮が必要になります。
GulfにはFCやFDに最適な全合成Gulf RE Special 10W-50(低灰分処方)があります
A. エンジンが適正温度(水温 80゚C)の時、適正油圧は3.0Kg ~ 5.0Kg です。ガンガン回した状態でも4.0Kg以上あればまったく心配はありません。全開の時に3.0Kg以下を示した場合は危険領域です。
しかし、始動直後などエンジンがまだ暖まっていない場合は高い油圧を表示します。これは、オイルも冷えているためにオイル自身が堅く(粘度が高い)なっているからです。また、アイドリングの時はエンジンの回転数も低く、とうぜん油圧も下がり2.0Kg ~ 2.5Kg程度を示しますが、アイドリング時に油圧が低いのは心配はありません。問題なのは、高速走行時などのエンジン回転数が高いにもかかわらず、油圧の低下が見られた時です。この現象はオイルの量が減っているか、オイルの粘度が極端に低下(サラサラ状態)していることが考えられますので、ただちにチェックする必要があります。
反対に異常に高い油圧を示している場合もトラブルの発生が予想されます。原因と対策は…
車の心臓部はエンジンであり、エンジンの血液はオイルです。このまま放置しますと重大なトラブル発生につながりますので、すぐに原因を追求しなければなりません。特に、スポーツタイプの車には「油圧計」が付いていますので、走行中にも頻繁にチェックすることを心がけると良いでしょう。
また、後から油圧計を取付ける場合は信頼できる修理工場で正しい位置にピックアップを取り付ける必要があります。参考までに、レーシングカーの場合はタコメーター(エンジン回転計)の次に重要なメーターが「油圧計」だといわれていますので、油圧がいかに重要かがおわかりになるでしょう。
A. エンジンが適正温度(水温 80゚C)の時、適正油温は水温より約10゚Cほど高い90゚Cを理想とします。しかし実際の使用では若干の誤差があり、比較的高い温度を示す場合があります。100゚C程度であれば問題はありません。ただし常時130゚C以上を示す場合はオイルクーラーの装着が必要です。
車両メーカーのエンジン設計者は通常使用の範囲で油温が90゚C ~ 100゚Cになるように設定し、オイルメーカーの品質設計もこれに合うように作られています。したがって、油温が異常に高くなった場合には無理な走行を避け、静かな運転を心がける必要があります。これは、エンジンに負荷をかけずに油温を下げる効果があるからです。油温は水温と密接な関係にあり、水温が上昇すればこれに正比例して油温も上昇します。
さらにエンジンをチューニングした場合に、たびたび油温の上昇が見られますので、油温を下げる対策として次の方法を選択してください。
参考までに、レーシングカーには必ずオイルクーラーが装着されています。場合によっては、ミッションやデファレンシャルにもオイルクーラーを付ける場合があります。
油温が異常に上昇してしまった場合のエンジンオイルに対する影響を列挙します。
これらはエンジンにとってはたいへん有害であり、直ちにオイル交換を実施して上記の油温上昇を抑える対策をする必要があります。最近登場した「合成油」は熱に対する抵抗力も強いですので、鉱油から合成油に変更してみる方法もあります。
さらに、ターボ車の場合は特に油温の上昇が考えられますので、ターボ車をさらにチューニングした場合は充分に油温を下げる対策をする方法をお奨めします。
また、夏場の気温の高い時期にはさらに油温上昇に対する配慮は必要で、スポーツドライビングを趣味とするドライバーには要チェックの項目です。通常の一般市販車には油温計が標準装備されていませんので、取付は正しい位置に信頼できるショップで行うべきです。
A. オイルクーラーの必要性については、一般市販車の例を見てもわかるとおり絶対に必要なものではありません。もし、必要なものであれば車輌メーカーが標準装着しているはずです。現在市販されている車で、オイルクーラーを標準装備している例はほとんどありません。
エンジンをチューニングしてエンジンの出力がアップすれば、とうぜん発熱量が増えます。発熱量が増加すれば熱対策が必要となり、ラジエターを大型の物と交換したりオイルクーラーの装着が必要になります。レース用のフォーミュラカーには必ずオイルクーラーが装着されています。
つまり、ノーマルカーには必要のない装備であり、反対にチューンドカーやレーシングカーには必須アイテムとなるわけです。部品(オイルクーラー)はブランド物が市場で販売されていますので、容易に手に入れることができます。同時に接続ホースや接続金具も必要となりますので、取付は経験豊富なチューニングショップに依頼すると良いでしょう。
オイルクーラーはラジエターと同じ構造をしており、材質はアルミが主流です。大きさ(容量)も各種販売されていますので、ご自分のエンジンの発熱量の増加に見合うサイズを選ぶことが可能です。オイルホースも専用のものが市販されていますが、具体的には「耐油」「耐圧」「耐温」性能を有している軽量の物を選んで下さい。最後にオイル交換時の注意事項です。
オイルパンからオイルを全量抜き取ってもオイルクーラー内やオイルホースからのオイルは出てきませんので、クーラーを取り外してオイルを抜き取ることをお奨めします。クーラー内のオイル量は300cc ~ 500cc 、多くても1リットル程度ですから、新しいオイルを注入する時には、このクーラーから抜いた分のオイルも追加することを忘れないでください。
オイルクーラーの取り付ける位置は、走行風のよく当たる場所にしてください。寒冷時の使用ではオイルクーラーで冷却する必要もありませんので、「走行風を塞ぐ」などの処置をすることで、エンジンのパワーロスになりません。これは、外気温の低い時にはオイルが固くなっているため、粘度抵抗が増加するからです。適切な油温管理をするためには「油温計」の装着をお薦めします。
A. 一般的なオイルクーラーは「空冷式」といっても過言ではありません。しかし、一部では「水冷式」のオイルクーラーも使用されています。別名、ヒートエクスチェンジャー(熱交換機)と呼ばれる場合があります。どちらもオイルを冷却する目的で使用されます。冷却を空気で行なうのが「空冷式」、ラジエターの水で冷却するのが「水冷式」です。
いずれにしても、エンジンオイルの冷却に用いられるのが一般的で、水冷式はAT車のATFの冷却に使用されています。内部の構造は二重になっており、内側に冷却フィンの付いたオイルのパイプ、その外側に水路を設けラジエターの水を通るようにします。通常のエンジンでは水温より油温のほうが約10゚Cほど高いため、オイルの熱を水で奪い、最終的にはラジエターを通過する空気に熱を逃がします。
わざわざこのような複雑な構造をとるのは油温が安定するからです。これが水冷式の最大のメリットです。そのほかにも下記のメリットがあります。
つまり、油温が安定することにより油圧の変動も少なくすることができます。
反対にデメリットは
オイルクーラーでは圧倒的に「空冷式」が使用されていますので「水冷式」は特殊な物であるといえます。一部のレーシングカーに使用されている程度です。
水冷式オイルクーラーは一般的でないため、入手性も良くありません。空冷式は重量も軽く、有名ブランド品も多く出まわっていますので、ご自分の車にオイルクーラーを装着する場合は「空冷式」をお薦めします。
A. ターボタイマーはターボチャージャーを保護するために開発された後付けパーツです。目的はターボチャージャーのタービン軸受け部分を冷却するために、エンジンスイッチを切っても数分間はアイドリングを行い、自動的にタイマーがエンジンを停止させるものです。
さて、ご質問の件では ・・・・・・・
一般の市街地走行などでの使用ではまったく必要がないと判断して良いでしょう。あえて必要なのは、高速道路を長時間高速で走行していて、いきなりサービスエリアに入った時などです。なぜなら、高速走行時はエンジン回転数も高く、ターボの加給圧も上がっていますのでタービン自体がかなり高温になっているからです。このような状態の時にエンジンを切るとターボの回転も止まりますので、軸受け部分のオイルが熱により分解してしまい、ターボ焼き付きの原因となります。
連続高速運転等をした時のタービン軸受けの温度は150゚C ~ 200゚Cに達しています。このままエンジンを停止すると250゚C ~ 300゚C以上まで軸受けの温度が上昇してしまいます。しかし、スロー走行をして充分エンジンを冷やすか、エンジンをすぐ止めずに数分間アイドリングしてから止めれば問題はありません。ターボ車の「取扱説明書」にはこのことが必ず記載されているのは上記の理由によるところです。
したがって、どんな状況でもターボタイマーを使用するのはガソリンの無駄遣いでもあり、状況に応じて使い分けるのが賢いドライバーといえるでしょう。
サーキットなどのスポーツ走行をする機会が多かったり、高速道路の走行が比較的多い方にはお奨めのアイテムではないでしょうか。取付はある程度の知識があればご自分でも比較的簡単にできます。
ターボタイマーを取り付けている車で明らかに無駄な使用をしている車を良く見受けます。タイマーを作動させるのが「カッコ良い」のかも知れませんが、車の使用方法を熟知している人にとっては愚かな行為と判断されます。ターボタイマーの使い方をマスターするのが賢いドライバーではないでしょうか。
A. ウエットサンプとは、車のエンジンオイルの循環方式のことで、一般車両のほとんどが採用しています。
「WET」とは「濡れている」という意味で「SUMP」(オイル溜まり)にオイルが充満していることを表しています。オイルはSUMP(別名、オイルパン)に溜まったものがポンプにより吸い上げられ、エンジン内部の潤滑部分に高い圧力をかけて供給されています。このオイルパン(SUMP)内が常にオイルで充満されている方式のことを「WET SUMP」といいます。つまり一般市販車はすべてウエットサンプだといっても過言ではありません。
これとは別に、レーシングカーに採用されている「ドライサンプ」(DRY SUMP)方式があります。
A. ドライサンプとは、車のエンジンオイルの循環方式のことで、レーシングカーが採用している方式のことです。
一般市販車ではほとんどこの方法を使用しておりませんが、ポルシェ911シリーズは現在でもドライサンプ方式を採用しています。
ドライサンプは、オイル溜まり(SUMP)に溜まったオイルを別のオイル専用タンクに回収してから、エンジンの潤滑部分にオイルを供給します。このため、WET SUMP(一般市販車の方式)と区別するためにDRY SUMPと呼ばれていますが、SUMP内が乾いているわけではありません。
メリットとしては、次のような点があげられます。
反対にデメリットとしては ・・・・・・・・
レーシングカーでは、デメリットよりもメリットを重視してほとんどDRY SUMP方式を採用しています。ただし、一般市販車による底辺レースなどの場合は「競技規則」に「DRY SUMP 禁止」も明文化されていますので、すべてのレースカーがドライサンプだとは限りません。
DRY SUMPへの改造には部品代と加工、取付などにかなりの出費を伴いますし、取り付けなどは信頼できる経験豊富なチューニングショップに依頼すると良いでしょう。
A. 車がコーナリングしている時は、物理の法則によりオイルパン内部のオイルが左右に片寄りを起こします。この現象は、急発進時やパニックブレーキ時にも前後の関係でオイルの片寄りが発生します。
エンジン最低部にはオイルパンがあり、この内部にオイルの吸込口(ピックアップ)があります。オイルが片寄るとこの部分にオイルがない状態となり、ポンプはエアーを吸い込み、オイルが供給されない時間が発生します。例えば、高速でコーナーリングをしている時は数秒間にわたり「オイル無し状態」が発生する場合があるのです。
この現象は「油圧計」がある場合には、コーナリング中に油圧の低下が見られますので容易に確認することができます。油圧低下(最底では油圧ゼロ)はエンジンにとって最悪の状態であり、エンジン回転が高ければ高いほどトラブル発生につながり、エンジン焼き付きも充分に考えられます。このオイルの片寄り現象を防ぐために、オイルパン内部にバッフルプレート(Baffle Plate)を鉄板等を加工して取付け、オイルの片寄りを起きにくくする方法が考えだされました。
一般走行をする車輌にはほとんど必要ありませんが、市販車ベースのレースに出るなどDRY SUMPがルールで禁止されている場合に良く施される対策です。加工、取付、部品製作はご自分でも可能ですが、経験のある信頼できるチューニングショップに依頼するのが良いでしょう。
このバッフルプレートはオイルパンだけでなく、マフラー(消音器)内部の仕切板としても広く使用されています。Buffleとは「流れを邪魔する」という意味があります。
A. モータースポーツ熱の高まりとともに、オイルにもレース専用タイプが市販されるようになってきました。レースでは使用されるサーキットの条件、常用回転数による油圧の条件、外気温などによる油温の条件などが、かなり限られた範囲で使用されるため、最適オイルを選定するには楽な面があります。同時にその日のワンレースだけ、走行距離も予想できますので、オイルの長期安定性(酸化劣化)を無視することもできるのです。
これらの意味から、レース用オイルは一般市販車に使用されるオイルよりはるかに楽な面があるわけです。つまり、品質も性能もまったく違うものと考えてください。
しかし、連続高速回転するエンジンをゴールするまで的確に保護しながら、油圧変動のないオイルが必要ですし、油温も安定していなければなりません。したがって、極限状態で使用されるレース用エンジンオイルには、高度なノウハウと専用のオイルが必要になるわけです。
同時にオイルの粘度抵抗はエンジンのパワーロスにつながりますので、最新のレース用オイルは極力粘度を低くした(サラサラした柔らかい)オイルが主流になっています。
低温側粘度は「0W」、高温側粘度は「30」や「40」の0W-30、0W-40などが良く使用されるようになりました。レース専用オイルでは、すでに鉱油の時代は過ぎ去り、ほとんど合成系オイルに移行しており、中身については各オイルメーカーの極秘事項になっています。
これらのオイルを一般車に使用するのは得策ではありません。レースでは渋滞もありませんし、排気ガス規制もなければ、長期間の使用もあり得ません。したがって、一般走行の車に使用することはお奨めできません。
しかし、ラリーやジムカーナ、ダートラなどのモータースポーツに積極的に参加する場合は使用しても良いでしょう。この場合、使用後には必ずすぐオイル交換をするようにしてください。ただし、ご自分でオイルを判断・選定するのではなく、チューニングショップなどのアドバイスを受けて選定するのが良い方法です。
最近、店頭で販売されている「レース用オイル」は、一般走行を考慮した配合となっている場合もありますので、「公道では使用しないでください」等の注意書きがなければ一般的な使用が可能です。
A. ミッドシップエンジンレイアウトは自動車の運動性能を理想的に追求した結果生まれたエンジンの搭載方法です。現在では、フォーミュラーカーや高性能スポーツカーに広く採用されている方式です。
わが国ではトヨタのMR-2やMR-Sが量販車として、HONDA NS-Xなどが少量生産されています。ミッドシップの場合はエンジン本体はもとより、ラジエターも文字どおりフロントにはありません。このため、エンジン冷却に難がありオーバーヒートに遭遇するケースも増えます。ただし、ミッドシップでもフロントラジエターの場合もあります。
オイル面での対策では、上記のように常に高温下に置かれることを前提条件として、熱劣化に強いオイルを選定する事をお奨めします。
最近市場に出回っている「合成系オイル」は鉱油に比べて耐熱性に優れていますので「全合成」や「半合成」のオイルを使用するのも一つの対策となります。また、「ターボ専用」に開発されたオイルも耐熱性が高いですのでマッチするオイルといえます。
オイルの粘度グレードでは、あまり低粘度の5W-30などは避け、10W-40、10W-50、15W-50などの比較的粘度の高いオイルを選定してください。粘度の低いオイルは高温になるとサラサラになってしまいますので、エンジンが常に高温にさらされるミッドシップには積極的にはお奨めできません。
MR-2は元々エンジン冷却に問題があったためメーカー自身が改良を施したほどです。初代MR-2やモデルチェンジ直後のモデルは熱対策がされておりませんので特に注意してください。これらの車両には別途「オイルクーラー」の装着をお奨めします。
A. エンジンを設計する場合の重要な要素に「ボア」(内径)と「ストローク」(行程)の関係があります。ボアとはシリンダーの直径のことで、ストロークとは文字どおりピストンが「上死点」から「下死点」まで移動する距離を表しています。ご自分の車のボア・ストロークはカタログや取扱い説明書の「エンジン諸元表」に記載されています。
このボアとストロークの関係はエンジンの性格を決定する要素の1つになります。
ここでは理論的なオイルの粘度選定を述べますので、すべてのエンジンに適用できるものではないことを前提に話を進めてまいります。
ご質問の「ショートストローク」エンジンのオイル選定では、「高回転」「高出力」を目指すところから、エンジンは軽く高回転までストレスなく回らなければなりません。オイルには粘度があるためエンジン内部で抵抗となります。オイルの粘度抵抗はエンジンの出力を奪ってしまいます。したがって、ショートストロークには粘度の低いオイルの「0W-30」や「5W-40」などの柔らかいオイルが最適と判断できます。
反対に粘度の高い「20W-50」などを使用すると、オイルの粘度が抵抗となり本来のエンジン性能を発揮できない場合があります。したがって、オイル選びには「粘度の低いオイル」が適していると理解してください。
以上の説明は理論的なものです。実際のオイル選定には車に付いている「取扱い説明書」やショップのアドバイザーの意見を参考にしてください。
A. エンジンを設計する場合の重要な要素に「ボア」(内径)と「ストローク」(行程)の関係があります。
ボアとはシリンダーの直径のことで、ストロークとは文字どおりピストンが「上死点」から「下死点」まで移動する距離を表しています。ご自分の車のボア・ストロークはカタログや取扱い説明書の「エンジン諸元表」に記載されています。
このボアとストロークの関係はエンジンの性格を決定する要素の1つになります。
ここでは理論的にオイルの粘度選定を述べますので、すべてのエンジンに適用できるものではないことを前提に話を進めてまいります。
ご質問の「ロングストローク」エンジンのオイル選定では、高回転域ではピストンスピードが高まることから、粘度の低いサラサラのオイルではピストンとシリンダー間の油膜切れの心配があります。したがって、ロングストロークには粘度の比較的高い「10W-40」や「15W-50」などのオイルが最適と判断してください。
ロングストロークのエンジンを搭載したスポーツタイプの車は姿を消しつつあります。しかし、一部ではいまでも市販されておりますのでオイルの選定には注意してください。
最近の傾向では、パワー競争に躍起になっていたメーカーも実用性の高いエンジンを開発するようになってきており、ロングストロークも見直されつつあります。
以上の説明は理論的なものです。実際のオイル選定には車に付いている「取扱い説明書」やショップのアドバイザーの意見を参考にしてください。
A. エンジンのタイプ別と一言でいっても様々な種類がありますので、ここでは「OHV」「OHC」「DOHC」の3タイプに限定して解説します。
また、ディーゼルエンジンを除いた4サイクル・ガソリンエンジンで進めてまいります。同時に、理論的に進めてまいりますので実際のオイル選びとは違ってくる場合もありますので参考程度にしてください。
「OHV エンジン」はOver Head Valveを略したもので、ひと昔前の旧式エンジンです。したがって、現在ではあまり生産されていません。
「OHC エンジン」はOver Head Camshaftを略したもので、DOHC(後述)と区別するため「SOHC」と表現される場合もあり、OHV の次に登場してきた進化型のエンジンです。別名、「シングルカム」と呼ばれます。
「DOHC エンジン」は上記のOHCをさらに高性能化するために開発された現在主流の高性能エンジンでは定番となったものです。別名を「ツインカム」または「ダブルカム」といいます。基本的に、これらのエンジンに適合するオイル選定は車に付いている「取扱い説明書」に従ってください。
しかし、これでは満足できない方のために下記のとおりアドバイスします。
OHVエンジンでもヘッドを新たに作ることによりOHCやDOHCエンジンにすることも可能です。したがって、エンジンのタイプ別でオイル選定をアドバイスするのはたいへん困難となります。エンジンのボアとストロークに注目してオイルを決定すると良いでしょう。
A. 通称、スポーツショックとはスポーツ走行に適したショックアブソーバーのことです。
純正部品より「固め」のセッティングがされており、交換後は乗り心地にゴツゴツ感がでて不快と感ずる人もいます。
車はコーナリング中に外側に傾斜(沈み込む)します。激しいコーナーリングでは傾斜も多く、車の挙動が安定しません。とくにS字の切り替えしなどに大きな「ユリ返し」がきます。スポーツショックはコーナリング性能を高めるために開発された後付けパーツです。
原理は、アブソーバー内のオイルの粘度を上げたり(固めのオイルにする)、オイルの通路(オリフィスの直径)を狭くして車の沈み込む速度を遅くしよう、とするものです。
スポーツショックに換えると乗り心地が悪化しますが、これと引き替えにコーナリング性能の向上を手にいれることができます。
外国・国内を問わずいろいろなメーカーから販売されていますので、自分の車に合うショックを選別することが可能です。さらにレース用、ラリーやジムカーナ用などの専用部品も選ぶことができます。
現代の車に使用されているショックは内部にオイルが充填されています。しかし、オイル交換はできません。ショック周辺に「オイルのにじみ」などを発見した場合はショック交換が必要です。
ショックの交換は、その車両の構造により自分で交換が可能な場合と、専用工具や設備が必要となる場合があるため、経験豊富なショップに依頼するのが賢明です。
A. アクティブサスペンションは「F1グランプリ」ですっかりお馴染みになったハイテク機構です。
原理はエンジンを動力としたオイルポンプで高圧の油圧を発生させ、必要に応じて4輪にオイルを送り込んだり開放したりするもので、金属バネをまったく使用しないサスペンションです。
車は発進時や強い加速時には後ろのタイヤに重力がかかり、車の後部が下がり(スクウォットという)ます。そして、ブレーキングの時には大きく前に沈み込みます(ノーズダイブ)。また、コーナリング中には右や左に車が傾きます(ロール)。
アクティブサスペンションはレースから生まれた発想で、どんな状況下でも常に車を地面に対して水平に保つことを目的としています。車が常に水平であれば4輪の位置も大きく変化せず(サスペンション・ジオメトリーの変化が少ない)挙動が安定すると同時に「空力」面でもたいへん有利になるからです。姿勢のコントロールは各種センサーからの情報をもとに、コンピューターが高速演算を行い、油圧を制御するコントローラーに指令を出します。コントローラーはこの指令に従い、油圧を制御するわけです。
アクティブサスペンションでは4輪を正に自由にコントロールできます。極端な例では電車やバイクのようにコーナリング中に車を内側に傾けることも可能です。
一般の市販車ではアクティブサスペンションはまだ完全には実現していません。現在までの例では車高だけを上下にコントロールしたり、ライトバンで後部に荷物をたくさん積んだ時にだけ後部の車高を上げるハイトコントロール機構が実用化されている程度です。
フランスのシトロエンは古くから金属バネを使用しないサスペンション装着車を世に問い、現在でも市販され、油圧を利用したサスペンションでは最高レベルと評価されています。
近い将来は本格的なアクティブサスペンション装着車が販売されるかも知れません。事実、すでに電気を通すと固くなる特殊オイルも開発されています。このオイルはすでに実用化さています。つまり、電気の強弱のみでサスを固くも柔らかくもできるわけです。この画期的なオイルはまずショックアブソーバーから実用化されました。